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プロジェクトストーリー

錢高組技報 ZENITAKA Technical Report

錢高組技報2025-No.50

論文・報告

1

機械学習を用いた山留め壁の予測解析に関する検討

鞆 伸之 角田晋相

論文

本研究は、山留め壁の予測解析に用いる土質パラメータの推定において、機械学習技術の適用可能性を検討したものである。従来の順解析プログラムによる予測解析は、非線形性のある土質に適用可能であるが、実測変位に基づき繰り返し計算を行う必要があるため、解析には時間を要するという課題がある。そこで本研究では、実測変位から土質パラメータを効率的に推定するため、全結合ニューラルネットワーク(FCNN)と畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の2 種類のモデルを構築し、多数の弾塑性解析データを用いて学習を実施した。推定した土質パラメータを用いた計算変位と実測変位を比較した結果、FCNN モデルはCNN モデルよりも高精度な推定が可能であることを確認した。検討結果から、機械学習による土質パラメータの推定は、山留め壁の予測解析において実現場への適用可能性があることが確認された。

key words:機械学習、ニューラルネットワーク、山留め壁、弾塑性解析、予測解析

2

換気設備の自動制御技術「TUNNEL EYE」による電力削減効果

角田晋相 森川真圭 白田克大

論文

カーボンニュートラルの実現に向け、建設分野においても施工段階におけるCO₂排出量の削減が求められている。土木工事のCO₂排出量原単位は建築工事に比べて大きく、中でもトンネル工事は土木工事の平均値を大きく上回っている。トンネル工事では消費電力量の大半を換気設備の運転が占めており、換気に用いる機械は非常に出力が高い上、運転は手動で切り替えを行っているため、電力の浪費も大きいと考えられる。
そこで、トンネル坑内の換気設備を自動制御するシステムを構築し、換気設備の適正運転を行うことで、消費電力量および電力由来のCO₂排出量の削減を図ることができた。

key words:山岳トンネル、自動制御、省エネルギー化、CO₂排出量削減

3

暑中施工における膨張コンクリートの膨張性状に関する実験的研究

薗井孫文 大屋戸理明 榊原弘幸

論文

本研究では、夏期の打設を想定した膨張コンクリートの膨張ひずみに及ぼす膨張材量、各種化学混和剤および骨材の影響に関する検討を行った。膨張材量が同一の場合、30℃で練混ぜおよび打設を行った方が20℃で行った場合に比べ、膨張コンクリートの膨張ひずみは小さくなることが確認された。これに加え、化学混和剤の使用によって凝結時間(始発)を遅延させるほど膨張ひずみが小さくなることが確認された。

key words:膨張コンクリート、化学混和剤、石灰石骨材、凝結時間、膨張ひずみ

4

高炉スラグ微粉末を用いた設計基準強度36~48N/mm2のコンクリートの性状

薗井孫文 大屋戸理明

論文

コンクリートに使用する普通セメントのうち、使用率10~70%の範囲で高炉スラグ微粉末に置換した、設計基準強度36~48N/mm2 の環境配慮型コンクリートの性状について検討を行った。室内実験の結果、使用率を15%および30%とした場合は工場保有の強度算定式と同等以上の強度が得られたが、使用率を60%および70%とした場合は強度算定式を下回る場合があることが確認された。また、Fc48N/mm2 レベルのコンクリートでは、工場保有の強度算定式では過剰な強度設計となり、実験結果から強度算定式を設定することが合理的となる場合があることが確認された。

key words:環境配慮型コンクリート、高炉スラグ微粉末、室内実験、圧縮強度、強度算定

5

高炉スラグ混和材高含有コンクリートの橋梁下部工への適用

大屋戸理明 薗井孫文 國岡大亮 秋山 博 榊原弘幸

論文

環境負荷低減と産業副産物の利用推進を目的として、高炉スラグ微粉末を高含有し高炉スラグ細骨材を用いた環境配慮型コンクリートを橋梁下部工へ適用した。室内実験と実機実験により、その性能が発現することを確認した。対象部材はラーメン式橋台である橋梁下部工の土中に埋設される底版で、コンクリート体積はおよそ200m3 である。実施工のコンクリートについてフレッシュ性状と強度発現性を確認し、所定の目標性能を満足していることが確認できた。なお、中性化の進行に対しては、評価式による試算の結果、十分な性能を有していると推測された。

key words:高炉スラグ微粉末、高炉スラグ細骨材、CO₂排出量、産業副産物、施工事例

6

小断面トンネル工事における突発湧水に対する出水対策 - 福岡導水施設地震対策2号トンネル併設水路下口工区工事 -

告中修平 星野毅志

論文

本報告は、福岡導水施設地震対策2号トンネル併設水路下口工区工事において発生した突発湧水に対する対策工法の検討から実施効果までを報告するものである。本工事は延長3,009.6m の水路トンネルを小断面NATM 工法により施工中、掘削2,231.2m 地点において毎分1.6m³の突発湧水が発生した。発生直後の緊急対応から恒久的な止水対策まで、一連の技術的対応について詳述する。止水工法としてウレタン系減水止水剤を用いた注入工法を採用し、約50%の減水効果を確認した。本事例は小断面トンネルにおける突発湧水対策の技術的知見として有用である。

key words:突発湧水、止水工法、ウレタン系減水止水剤、水路トンネル、小断面NATM

7

シールドトンネル工事における水中到達工法 - R4霞ヶ浦導水石岡トンネル(第4工区)新設工事 -

河内浩二

論文

本工事は、霞ヶ浦導水事業として、堅倉立坑から美野里立坑に至る延長約4,100mの区間において、導水路トンネルを構築する工事である。トンネルの仕上がり内径はφ3,500mm で、地下約20~40m以深となる大深度・長距離のシールドトンネル工事である。また、掘進区間の地上部は、主に農耕地及び住宅地となっているため、土量管理や泥水圧管理及び地盤変形計測には特に留意する必要があった。本報告は、到達部でのNOMST 工法を水中到達にて施工した実績について報告するものである。

key words:NOMST 工法、泥水式シールド、水中到達、大深度、高水圧

8

ニューマチックケーソンの沈下促進対策

八若幹彦

論文

中央新幹線相模川橋りょう新設工事において、河川内橋脚P3 のニューマチックケーソン沈下掘削中に地盤の周面摩擦力の増大によって、ケーソンの沈下抵抗力が卓越したことで沈下不良が生じた。このため、ケーソン周面に鉛直ボーリングを実施して周面に生じている土圧軽減を図るとともに、高圧噴射撹拌を併用して、ケーソン周面に供給・堆積する砂を除去することで、摩擦抵抗力を低減させた。これにより、ケーソンの再沈下が可能となり、沈下不良中に増加したケーソンの傾斜も改善され、施工精度も向上することができた。

key words:ニューマチックケーソン、沈下促進、周面摩擦、高圧噴射攪拌工

9

柱RC梁S造の大面積建物の施工計画 - ロジスクエア京田辺A新築工事 -

細越隆幸 竹村 修 木田幸太朗

論文

ロジスクエア京田辺A 新築工事(以下、本工事)は、建築面積が大きく、鉄筋コンクリート(以下、RC)柱本数が1 層で300 本を超え、更に内法長さが約6m であるため、型枠の転用効率の向上、柱組立鉄筋の剛性を高めて、建起しから設置までにねじれ等で配筋を乱さないための対応が課題となった。これについて、型枠はステンレス製のシステム型枠を用いることで転用効率を高め、柱鉄筋の剛性を高めるためには鉄骨治具、鉄筋端材を組立鉄筋端部に用いることで対応した。いずれも施工性、コストの両面を考慮し、今後の施工計画の参考になるようまとめた。
本報では、その検討と結果について報告する。

key words:柱RC 梁S 造、鉄筋地組、柱システム型枠

10

既存地下美術館における上部改修工事での問題点と対策 - 国立国際美術館歩行者デッキに係る階段等整備工事 -

園田忠臣 松山宗平

論文

国立国際美術館歩行者デッキに係る階段等整備工事(以下、本工事)は、大阪新美術館と国立国際美術館を接続する歩行者デッキからの通路として、既存建屋上部に新設スロープと階段を設置する工事である。美術館の開館中は振動・騒音作業ができず、休館中に主要な工事を行わなければならない、更に防水対策、既存躯体の配筋を避けてアンカーボルトを打ち込んでの新設構造物の設置の制約がある中、竣工することができた。本報は、地下における美術館とのトラブル防止、多くの設計条件に対する問題点・課題に対して検討、工夫した内容について報告する。

key words:雨水浸入防止、全天候型養生足場、既存スラブ制限荷重

11

市街地における仮設計画とCFT柱の施工管理 - 芝田2丁目計画 -

鈴木鎮雄 檜垣真由 田中大樹

論文

(仮称)芝田二丁目HN 計画新築工事(以下、本工事)は、JR 大阪駅、阪急梅田駅の近くで、地上13 階建てのコンクリート充填鋼管構造(以下、CFT 造)の事務所ビルを建設する工事である。狭小敷地であり、東面は昼夜ともに通行車両、歩行者が多い国道176 号線に面しているため、資機材の搬出入の際の動線計画、資材の揚重、歩行者の安全に対し、入念な計画を行った。またCFT 造であるため、鋼管柱へのコンクリートの圧入に際しては、密実に充填できる様、フレッシュコンクリートの品質管理、施工管理を行った。本報は、これらの市街地の狭小敷地の工事における仮設計画とCFT 柱の施工管理の内容について報告する。

key words:搬出入動線、資材揚重方法、第三者への配慮、CFT、充填コンクリート

12

狭小地施工での創意工夫 - (仮称)千代田一番町計画 -

鍵市 祥 古戎隆明

論文

(仮称)千代田区一番町計画(以下、本工事)は、1F が飲食店舗、2~11F が事務所、屋外に機械式駐車場を有する建物であり、敷地は共同住宅、ホテル、事務所ビルに囲われた立地となっている。南側搬入道路は一方通行であり、幅員3.8m~4.5mのクランクした形状となっている。この部分は大型車両(10t以上)が通行できないため、一方通行規制解除を行い逆走での搬入が必要であった。また、北側は敷地境界と建物基礎との離隔が最小で350 ㎜であり、都心の狭小地での作業となった。西側の地下は東京メトロ半蔵門駅があり、第三者災害は勿論のこと、行政指導やインフラ等への対応も必須であり、非常に難易度の高い工事であった。本報では、上述した狭小地での施工に伴う創意工夫について報告する。

key words:規制解除申請、 既存躯体利用構台、高低差解消、外部足場大組、タワークレーン解体

13

クリーンルームを有する大規模工場施工 - 京セラ株式会社鹿児島川内工場第23工場1~4階、6階内装設備工事 -

瓜生卓海

論文

京セラ株式会社鹿児島川内工場第23 工場1 階~4 階、6 階内装設備工事(以下、本工事)は、鹿児島県西部の薩摩川内市に位置する京セラ株式会社鹿児島川内工場第2 ブロック内での工場建設工事である。半導体向けの工場であり、清浄度クラス1000 のクリーンルームを有する。また、製品製造過程において特殊廃液が発生する。
本報では、清浄度確保に配慮した施工方法と特殊廃液が流出することを前提とした施工時の対策について報告する。

key words:クリーンルーム、特殊廃液、清浄度確保