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千葉県流山市のつくばエクスプレス流山おおたかの森駅西口に新たなオフィス・商業複合型ビル「NAGAREYAMAおおたかの森GARDENSアゼリアテラス」が誕生しました。周辺には駅名の由来となったオオタカも生息する緑豊かな環境の中で、環境と開発との調和の実現、そして流山にふさわしいデザインと環境性能を持った施設になっています。流山は子育て世代が多く、商業・クリニック・保育所等を併設する本施設は、地域コミュニティの基盤となるとともに、周辺施設との回遊性を強化する施設となることが期待されています。
基本計画・基本設計・デザイン監修は建築設計分野で多くの受賞歴を持ち、様々なイノベーションを生み出す施設の設計等で注目を集める小堀哲夫建築設計事務所の小堀哲夫氏が手掛け、当社が実施設計と施工を担当しました。
多様化する働き方に対応する新しいオフィス・商業複合施設として、デザイン・環境性能にこだわった個性的な施設が生まれました。
- 工事概要
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- 事業主
- 東神開発株式会社
- 基本計画・基本設計・デザイン監修・工事監理
- 株式会社小堀哲夫建築設計事務所
- 実施設計
- 株式会社錢高組一級建築士事務所
- CM
- 日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社
- 工事場所
- 千葉県流山市
- 工期
- 2020年7月~2021年10月
- 工事概要
- S造 地上10階
建築面積 1,795.53㎡
延床面積 10,171.28㎡

少しずつずれながら重なるバルコニー
西側の低層棟(駐輪場・保育園)
オフィスフロアと特徴的な斜め柱
上階に向かって角度が変化する柱
「ゆらぎ」のあるデザインと地域の植生につながる植栽

本建物の外観は少しずつずれながら何層にも重なったバルコニーが特徴的です。このバルコニーの平面形状は各階でわずかに異なっており、それにより「ゆらぎ」のあるユニークなデザインとなっています。各階で眺望や日光の入り方が異なり、バルコニーに設置された植栽は流山の豊かな自然環境との接点にもなっています。
また開放的なオフィス空間を実現するため、外壁三面を連続窓とし耐震ブレースの機能を併せ持つ斜めの柱からなる構造を採用しました。この斜めの柱は低層部から高層部に向かって徐々に垂直に近づいていく形状になっており、バルコニーとともに外観に「ゆらぎ」を生み出しています。
屋上には「おおたかの森」の駅名の由来となったオオタカの生息する「市野谷の森」と市街を望むことができる屋上庭園を設け、緑のランドマークとしています。駅前広場との一体感をつくり出すとともに、施設を使う人々・地域の人々にとっての落ち着ける居場所となっています。この屋上庭園や建物外周、各階のバルコニーの植栽には流山市の地域の植生を考慮した樹種を積極的に選定し、街並みに緑の連続性を確保しつつ、流山の豊かな自然を継承した植栽計画としています。
「緑の街」にふさわしい高環境性能
本建物には各種の環境負荷低減・BCP対策を導入しており、緑豊かな街並みの流山にふさわしい環境性能を実現しています。各階のバルコニーによりオフィス空間の日射の負荷を軽減しているほか、断熱性能に優れるLow-E複層ガラスやLED照明、トイレ廻りの発電型エコ水栓等を採用し、建物での使用エネルギーの削減を図っています。
豊かな表情を引き出すOSB板の型枠
当現場は流山おおたかの森駅西口におけるシンボリックな建物であり、周辺建物と一線を画すデザインが採用されています。このイメージを具現化するべく、施工に当たっては様々な工夫を重ねました。
コンクリート打ち放しのバルコニーには、通常型枠には用いられない「OSB板」を使用することで、ユニークな質感を引き出しています。OSB板は短冊状の木片をプレスで固めた合板で、通常は内装用合板として使用されています。OSB板は通常の合板より吸水率が高く、型枠として使用するとコンクリート表面の強度が低下する恐れがありましたが、事前に二度にわたり実物大のモックアップを製作し、品質確保のための問題点を徹底的に洗い出し、不具合の発生を排除しました。こうして豊かな表情を持った高品質な建物を実現しました。
施工現場から
東京支社 建築部 作業所長越智 貴紀
本建物の施工に際しては、OSB板型枠の使用や斜めの鉄骨柱の施工精度確保、各階ごとにバルコニーの形状が異なる建物に対する仮設計画等、計画段階から難易度の高い施工が予想されました。ひとつひとつ課題を抽出し、その解決策の検討を重ね、施工の中で忠実に実行していった結果、事業主様・デザイン監修者様にもご満足いただける高品質な建物をつくり上げることができました。今回のような建物の施工に携われる機会はなかなかないと思いますが、施工に携わった各技術者の自信にもつながったと思います。施工者として感慨深い想いにいたる建物となりました。