CSR
- 目次
- ※注意:
- 本文中に記載しているCO2排出量データは、scope1・2を集計したものです。scope3は、含んでいません。
「脱炭素」目標達成に向けた進捗状況
当社は環境方針の基本理念に「大地への愛
人間への愛」を掲げ、作業所において騒音対策、振動対策、水質汚濁防止対策などを実施しています。また、作業所から排出される廃棄物の削減、循環型社会を目指してリサイクル率の向上や生態系保全に努めてきました。世界的な解決課題である気候変動などの環境問題についても、重要な経営課題と捉え、温室効果ガスの排出量削減を目指す「脱炭素化」に取り組んでいます。
2030年度までに施工段階におけるCO2排出量を40%(※1)削減し、2050年度までにCO2排出量を実質ゼロとすることを全社目標として設定し、CO2削減活動を継続しています。CO2排出量は、工事量や工種工法により大きく変動するため、目標値として「施工高1億円あたりのCO2排出量」である原単位(t-CO2/億円)を採用しています。
目標設定後の3年度目である2023年度は、施工高1億円あたりのCO2排出量は2022年度の15.80tから12.28t(※2)と22.3%の減少となりました。目標は前倒しで実現したものの、削減への取り組みは継続していきます。
施工時の工夫や技術開発など様々な取り組みを通して、「脱炭素化」を実現する具体策にスピードを上げて取り組んでまいります。
- 2012年度から2014年度の3年度平均値対比。目標値は施工高1億円あたりの排出量(原単位)で設定。
- 日本建設業連合会の定める算出基準で計算。
社長直轄の「環境経営委員会」
「脱炭素」に向けた目標達成のため、社長を委員長とする「環境経営委員会」を設置し、傘下の各ワーキンググループにて脱炭素化に向けた取り組みを組織横断で進めています。
2023年度には計6回の「環境経営委員会」を開催し、委員長である社長の出席のもと、各部門の目標達成に向けた進捗状況の報告や課題の洗い出し、脱炭素に関連した技術開発や関連する法令・認証制度等についての情報共有を行っています。
工事で使用する電力に「CO2フリー電力」を導入
エネサーブ株式会社から「CO2フリー電力」を調達し、全国の土木・建築の作業所でその導入を推進しています。同社と仮設電気供給に関する基本契約を締結しており、作業所で使用する電力に関しては、原則としてCO2排出係数がゼロの「CO2フリー電力」を導入しています。エネサーブ株式会社はトラッキング付非化石証書を用いて、再生可能エネルギー100%の電気を供給しています。
2022年度以降着工の建築工事、2023年度以降着工の土木工事に関しては、導入可能な作業所において「CO2フリー電力」を100%導入しています。
今後も更に再生可能エネルギーの導入拡大等の取り組みを通じて、施工段階におけるCO2排出量の削減を進めてまいります。
ZEBの実績拡大に向けた取り組み
消費エネルギーと生産エネルギーの相殺により、実質的なエネルギー消費量がゼロとなる建物「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」が注目を集めています。当社では2023年度末までに、4件のZEB認証(エネルギー消費量正味100%以上削減)と3件のZEB
Ready認証(正味50%以上削減)
を取得しています。また「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」においては2件のZEH-M
Oriented認証(外皮断熱性能が全住戸で「強化外皮基準(※1)(ZEH基準)」を満たし、エネルギー消費量正味20%以上削減)を取得しています。現在設計中・施工中の物件についても更なる認証取得を計画しています。
当社は、ZEBの導入を検討されているお客様に対して、ZEB実現に向けたプランニングを実施できる認証制度「ZEBプランナー」の認証を取得しています。ZEBプランナーは「ZEB設計ガイドライン」や「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」を活用し、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を有し、業務支援(建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計)を行い、その活動を公表する事業者です。環境省および経済産業省が実施しているZEBへの補助金事業についてはZEBプランナーの関与が必須となっています。2025年度に当社が受注する設計業務のうち、ZEBが占める割合を50%以上とすることを目標とします。
当社はZEBに対する知見を活用し、お客様へZEB化を目指した最適設計の提案及び施工を行い、脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。
- 当社設計施工のZEB・ZEH認証取得物件
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三井不動産
ロジスティクスパーク新木場Ⅰ2023年2月竣工
ZEB認証取得
エネルギー消費量削減率 126%(※2) -
三井不動産
ロジスティクスパーク海老名南2024年3月竣工
ZEB認証取得
エネルギー消費量削減率 100%(※2) -
野村不動産
Landport横浜福浦2023年9月竣工
ZEB Ready認証取得
エネルギー消費量削減率 63%(※2) -
NTT都市開発
ウエリス瑞穂公園2024年5月竣工
ZEH-M Oriented認証取得
エネルギー消費量削減率 26%(※2)
- 強化外皮基準とは、地域毎に定められた外皮(熱的境界にある外壁・天井・屋根・窓・ドアなど)の断熱性能基準(外皮熱貫流率UA値)のこと。
- エネルギー消費量削減率は、建物用途別の基準値に対するエネルギー消費量削減率を示す。
電動・ハイブリッド重機と軽油代替燃料の活用
建設現場におけるCO2排出源の一つである建設機械で使用する軽油の削減に取り組んでいます。電動・ハイブリッド重機の利用、軽油代替燃料の活用を積極的に推進しています。
電動重機やハイブリッド重機の導入により、従来の燃料を使用する重機に比べてCO2排出量を大幅に削減することができます。また、植物油を原料としたバイオディーゼル燃料や天然ガスを原料としたGTL燃料などの軽油代替燃料を使用することや、燃料添加剤を活用することで燃料の効率性を向上させながらCO2排出量を削減する取り組みも行っています。
このような取り組みの拡大により、建設現場におけるCO2排出量の削減に貢献し、環境への配慮と持続可能性を重視した技術革新を通じて、建設業界のエコフレンドリーな未来を実現することを目指しています。
マテリアルフロー
建設業では、多くの資材やエネルギーが使用され、多くの環境負荷が発生しています。当社では、持続可能な循環型社会の形成のために、事業活動を通したインプットとアウトプットを集計し、物資やエネルギーのフローを管理しています。これらを定量的に把握し、資材・エネルギー共に天然資源の使用を抑え、再生資源の有効利用を推進しています。また建設副産物についても、発生抑制やリサイクルによる再資源化に努めています。
作業所・オフィスのCO2総排出量の状況については、作業所においてはCO2フリー電力の導入を推進したこと、オフィスにおいては照明のLED化や省エネ型空調設備への更新を進めたことにより、前年度比14.0%の減少となっています。
建設廃棄物については、排出総量は前年度比で13%削減となっていますが、建設汚泥及びコンクリート塊の比率が減少して混合廃棄物の比率が増加したことから、全体のリサイクル率は低下しています。また、近年は廃プラスチックの海洋汚染が問題となっており、梱包材の簡素化等による使用量の削減に加え、日建連等関係団体から情報収集を行いリサイクル率の向上に取り組んでいます。
引き続きCO2排出量や建設廃棄物の削減に努め、環境保全に向けた取り組みを進めてまいります。