ZENITAKA Topics
東日本大震災からの復興に向けた錢高組のあゆみ
ごあいさつ
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により引き起こされた東日本大震災から10年余りの歳月が過ぎました。被災された方、またその関係者の皆様に改めてお見舞い申しあげます。
当社は、地震発生直後より社業である建設事業を通して、また被災地復興ボランティア活動、緊急支援物資や技術者の派遣などの支援を通して、東日本大震災からの復興に貢献して参りました。
2021年12月18日には全長570kmの「復興道路・復興支援道路」が全線開通を迎え、復興への大きな一歩となりました。これを節目として、当社がこれまでに取り組んだ復興への軌跡をご紹介させていただきます。
復興は未だその途上にありますが、錢高組は今後も安心安全な国土づくりに貢献するべく社会インフラの整備を通した社会への価値提供を通じて、被災地の皆様とともに歩んで参ります。
復興関連事業の施工実績
岩手県
宮城県
福島県
工事名 | 施工場所 | 施工期間 | 工事概要 | |
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1 | 国道45号 新安家大橋上部工工事(下安家大橋) | 岩手県九戸郡野田村 | 2018年02月07日 ~2021年02月19日 | PC3径間連続箱桁橋 L=231(m)、 コンクリート 4,753(m3)、 免震ゴム支承 8(基) |
2 | 摂待地区海岸災害復旧(23災598号)工事 | 岩手県宮古市 | 2015年03月05日 ~2022年03月15日 | 水門本体工 15,395(m3)、カーテンウォール工 2,208(m3)、 海岸土工 11,400(m3)、防潮堤基礎工 228(m) 他 |
3 | 国道45号 摂待道路工事 | 岩手県宮古市 | 2014年01月23日 ~2018年03月23日 | 摂待第1トンネル L=1,355(m)、摂待第2トンネル L=1,772(m)、 摂待大橋上下部工 L=234(m)、下摂待橋上下部工 L=37(m) 他 |
4 | 農用地災害復旧関連区画整理事業山田地区 (小谷鳥工区)第3号工事 | 岩手県下閉伊郡山田町 | 2013年12月03日 ~2015年02月27日 | 整地工 6.07(ha)、用水路工 845.0(m)、 排水路工 1,686.1(m)、道路工 1,059.0(m) |
5 | 船越・田の浜地区復興事業第1団地新設工事 | 岩手県下閉伊郡山田町 | 2013年12月16日 ~2016年03月31日 | 造成面積 6.57(ha)、造成区画 86(区画)、掘削工 262,100(m3)、 盛土工 86,500(m3)、残土処理工 189,350(m3) 他 |
6 | 農地海岸保全施設災害復旧事業 小谷鳥地区第1号工事 | 岩手県下閉伊郡山田町 | 2012年12月13日 ~2017年03月15日 | 防潮堤工 366.3(m)、斜路工 174.8(m)、 地盤改良工(サンドコンパクションパイル工法)2,996(本) 他 |
7 | 大浦漁港海岸災害復旧 (23災県第681号防潮堤その3)工事 | 岩手県下閉伊郡山田町 | 2015年10月26日 ~2020年09月30日 | 構造物撤去工 4,144(m3)、逆T式防潮堤 879.59(m)、 第1号町道 654.961(m)、第3,4号水門工(一式) 他 |
8 | 大槌学園小中一貫教育校 (23災県第550号防潮堤その1)工事 | 岩手県上閉伊郡大槌町 | 2014年12月12日 ~2016年09月15日 | W造、RC造、S造 計11棟 地上2階建 建築面積 8,320(m2) 延床面積 13,063(m2) |
9 | 両石漁港海岸災害復旧 (23災県第550号防潮堤その1)工事 | 岩手県釜石市 | 2014年10月14日 ~2018年07月31日 | 鋼管杭φ1500 t=15~25(mm) L=22.5~26.5(m)、 被覆工 プレキャスト版3,134(m2)、中詰コンクリート1,173(m3) 他 |
10 | 越喜来地区海岸災害復旧 (23災519号及び606号)工事 | 岩手県大船渡市 | 2013年03月07日 ~2017年09月30日 | 復旧延長 L=947.5(m)、防潮堤工(1号,2号,3号,岬部護岸) 895.0(m)、 突堤工 225.20(m)、人工リーフ工 120.7(m)、水門工 2(基) |
11 | 大船渡港永浜地区海岸防潮堤(その2)工事 | 岩手県大船渡市 | 2018年12月14日 ~2021年12月27日 | 場所打ちL型防潮堤 110.4(m) 1,483(m3) 、 場所打ち逆L型防潮堤 104.2(m) 2,212(m3) |
12 | 港川河川災害復旧工事(その2) | 宮城県本吉郡南三陸町 | 2014年10月17日 ~2018年07月31日 | 築堤盛土工99,250(m3)、法覆護岸工17,415(m2)、 地盤改良工(一式) 他 |
13 | 災害廃棄物処理業務(気仙沼ブロック(南三陸処理区)) | 宮城県本吉郡南三陸町 | 2012年03月06日 ~2014年03月25日 | RC建造物解体工事 36(棟)、 災害廃棄物二次仮置場造成工事 181,300(m2)、 仮設道路工事 135,000(m2) 他 |
14 | 南三陸病院・総合ケアセンター南三陸 | 宮城県本吉郡南三陸町 | 2014年05月22日 ~2015年10月31日 | RC造、一部S造 地上3階建 建築面積 6,233(m2) 延床面積 12,267(m2) |
15 | 南三陸町本庁舎 | 宮城県本吉郡南三陸町 | 2016年02月16日 ~2017年08月31日 | RC造、S造、W造 地上3階建 建築面積 2,657(m2) 延床面積 3,773(m2) |
16 | 南三陸町歌津総合支所 | 宮城県本吉郡南三陸町 | 2016年02月16日 ~2017年05月31日 | RC造、S造、W造 地上1階建 建築面積 1,392(m2) 延床面積 1,299(m2) |
17 | 東北中央自動車道 阿武隈川橋上部工工事 | 福島県伊達市 | 2018年09月15日 ~2021年01月06日 | PC片持箱桁橋 L=398(m)、 支承工 10(基)、 上保原こ道橋(一式) 他 |
18 | 平成28年度中間貯蔵に係る保管場設置等工事 (双葉町)(その2) | 福島県双葉郡双葉町 | 2016年09月13日 ~2018年03月12日 | 保管場所 敷地内線量 低減措置 43,700(m2)、 敷地内整備工 58,300(m2) 他 |
復興支援活動
錢高組は地震発生直後から社内に対策本部を設置し、翌日には水、食料をはじめ、毛布、燃料、発電機、簡易トイレなどの支援物資を被災地にお届けするなど、復興支援に尽力して参りました。また津波被害が特に大きかった岩手県上閉伊郡大槌町や宮城県仙台市宮城野区などの地域においては、錢高組東北支店の従業員を中心としたガレキ撤去などのボランティア活動を実施いたしました。
さらに、各地域での震災復興事業の中でも、地域の方々や子供たちを対象にした現場見学会や各種教育プログラム等を通じて、震災復興に対する理解と地域の記憶の伝承のための取組を行って参りました。
錢高組はこれからも、建設業の力を発揮し、被災地の皆様に寄り添う取り組みを進めて参ります。
支援物資積込状況
ボランティア活動
震災復興事業に携わった社員のコメント ※肩書は当時
震災復興工事に携わって
東北支店 土木部
小野寺 大介
震災の日、私は福島県相馬市で仕事をしていました。揺れが収まってから現場を確認したとき、切土のり面が崩れ、道路盛土のいたるところに亀裂が入っている状況を見て愕然としたことを覚えています。
震災後、私は岩手県、宮城県で主に防潮堤の復旧工事に携わってきました。当初は、各所で復旧・復興工事が行われていましたので、生コンクリートなどの資材の調達にとても苦労しました。一方、地元の皆様のご理解と、多くのご協力を頂きながら工事を進めることができました。
岩手県山田町で工事をしていた2016年には、台風10号により岩手県沿岸では大きな被害が発生しました。台風が通過した際に発生した高波が施工途中の防潮堤を駆け上がっている様子を高台から見て、改めて自然の脅威を感じるとともに、防潮堤が人々の生活を守るために役立っているのだと実感しました。
岩手県下閉伊郡山田町 小谷鳥地区
宮城県(本吉郡 南三陸町) 港川河川復旧工事 全景
復興と発展を願って
東北支店 土木部
森川 真圭
工事場所である岩手県下閉伊郡山田町は、東日本大震災により甚大な被害が発生した地域です。着工当時は、震災から約4年半経過したものの、崩れた防潮堤や折れ曲がった街灯、流れ着いた大量のゴミ等、津波の爪痕が多く残っていました。元々漁業が盛んな地域で、地元の方々からも工事の早期完成を望む声が多く挙がっていました。
そのような中で着手した工事ですが、地元の方々にとって少しでも早く、安全で安心な生活を届けられるよう早期完成を最大の目標として取り組みました。資機材や作業員不足という状況下で、発注者や協力企業、そして何より地元の方々の多大なるご協力のおかげで工事を無事に終えることができました。開催が危ぶまれていた地元のお祭りが無事に開催できた際は、地元の方々から感謝の言葉を頂戴し、社員一同大変嬉しく思いました。
このような復興事業に参画できたことを光栄であると感じるとともに、本工事で造り上げた防潮堤が、今後も長きにわたって住民の皆様の安全・安心と地域発展に寄与することを願っています。
岩手県下閉伊郡山田町 大浦地区
震災復興工事に携わって
東北支店 土木部
大橋 駿希
震災当時、北海道にいた私はまだ小学6年生で、卒業式の練習をしている最中に地震が起こりました。家に帰りテレビをつけると、被害の様子が中継されており、衝撃を受けたのを今でも覚えています。
錢高組に入社して初めての現場が、福島県伊達市の現場でした。この現場は、相馬~福島間を横断する復興支援道路のプロジェクトとして位置付けられ、阿武隈川を跨ぐ橋長400mの橋を建設する工事です。初めて経験することばかりで、右も左もわからない状態でしたが、上司や職人さんに様々なことを教えていただきながら、最後まで工事に携わることができました。完成した橋を車で通った際、工事を行っていた頃とは違う景色を見ることができ、とても感動しました。これからも、ものづくりを通して、多くの人の役に立っていきたいです。
ボランティア活動の思い出
東北支店 営業部
石森 辰浩
2011年3月11日の地震発生から約3か月後の2011年6月3日に、錢高組社員と協力会社の方々10数名で仙台市内沿岸部へボランティアに行き、「民家の竹の伐採」と「側溝の清掃(泥の除去)」などを行いました。私はスコップと土嚢袋を用いての側溝清掃を行いましたが、当日は天気がよく、汗だくで腰も痛くなり、体力も奪われ、かなりの重労働でした。
他にも沢山のボランティアの方々がおられましたが、ボランティアのまとめ役であるリーダー数名が、サテライトと呼ばれる中継基地(平屋建ての借家)に常駐しており、沖縄、鹿児島、埼玉、東京と様々な地域から、復興の為に無償でボランティアに来ているとのことでした。私は鹿児島から来ている方と話をさせて頂きましたが、家族を鹿児島に置いて、仕事も長期休暇を利用して来ており、既に2ヶ月過ぎたとのことでした。家族からは「やりたいようにどうぞ!」と半ば投げやりだったと笑いながら話していました。
同じ日本人とはいえ、見ず知らずの人たちの為に、小さな6畳部屋を数人で何日も何日もザコネしながら生活し、贅沢な食事もできず、休みもなく、ボランティア出来るでしょうか。私も含めほとんどの人が出来ないでしょう。ボランティアと一言で行っても自己満足に過ぎないと思っておりましたが、一人一人が力を合わせることにより大きな力となり復興の手助けになったと感じています。本当に、本当に頭が下がる思いでした。
社員によるボランティア活動
安家川サケ稚魚放流会に参加して
東北支店 土木部
高橋 新平
当社施工の下安家大橋の上流100m程の所には、サケ・マスの孵化場があり、毎年4月頃に食育の一環として、地元の小学生達によるサケの稚魚の放流会が行われます。地域の方のご厚意により、当社職員もこの放流会に参加させて頂きました。
下安家大橋のある野田村には、マスコットキャラクターの「のんちゃん」がいます。「のんちゃん」はサケの稚魚をモチーフにしたキャラクターであり、野田村においてサケがどれ程生活に根付いているかが伺えます。
工事を行っている私たちも行事に参加させてもらえたことは、地域の方からの友好の証であるように感じて、大変嬉しく思いました。それと同時にこの道路が如何に待ち望まれているかも感じました。
私は、震災当時浪人生として大学進学を目指しており、周りが大変な中で勉強することに強い葛藤がありました。今回、土木施工管理として地元東北の震災復興業務に携われたことに感謝しています。
稚魚の放流会への参加
放流会での「のんちゃん」の紹介