CSR

当社は「大地への愛、人間への愛」をスローガンとして掲げ、建設業の本来の役割である自然との共生をはかりながら、生活環境を豊かにしていくという今まで当たり前に続けてきたことをさらに強化し、進めてまいりました。近年、世界的な解決課題として顕在化している気候変動をはじめとする環境問題への対応として、CO2(二酸化炭素)に代表される温室効果ガスの排出量削減を目指す「脱炭素化」が建設業においても重要な経営課題となっています。当社は2021年、脱炭素の全社目標として、2030年度に施工段階におけるCO2排出量の40%削減※、さらに2050年度にCO2排出実質ゼロの達成を目指すことを掲げました。
目標設定後の初年度である2021年度は、施工高1億円当たりのCO2排出量は2020年度の18.60tから18.20t※と0.40tの減少となりました。当社は引き続き、施工時の工夫や技術開発など様々な取り組みを通して「脱炭素化」を実現する具体策にスピードを上げて取り組んでまいります。
2012年度から2014年度の3年度平均値対比。目標値は施工高1億円当たりの排出量(原単位)で設定。
日本建設業連合会の定める算出基準で計算。


従業員に対する「脱炭素」教育
「脱炭素」に対する従業員の理解を深め、脱炭素の取り組みに対する意識を向上させることを狙いに、全社員を対象に「脱炭素の取り組み」についての教育を実施しました。全社員が脱炭素についての基礎知識や当社の取り組みについての教育動画を視聴した上で理解度テストを実施し、その結果を集計し受講者の理解度を確認しました。またイントラネット内に「脱炭素の取り組み」のページを開設し、脱炭素に関する各種情報を集約し、全社員がいつでも情報確認や教育動画の視聴をすることが可能になっています。脱炭素についての情報は随時拡充し、社員の脱炭素に対する意識の高揚に努めています。
再生可能エネルギー・軽油代替燃料の導入
当社では作業所で使用する電力に関し、実質CO2排出係数がゼロの「CO2フリー電力」を導入しています。当社は複数の事業所からCO2フリー電力を調達し、2022年8月現在、土木・建築合わせて10現場で導入しているほか、さらに5現場で2022年度内の導入を予定しています。
また作業所で稼働する重機の燃料由来のCO2削減策として、石油由来の燃料よりCO2排出量の少ない天然ガス由来の液体燃料「GTL(Gas To Liquids)燃料」の採用や、軽油に添加することで燃費を向上させ、燃料使用とCO2の削減に貢献する燃料添加剤の導入も進めています。
今後もさらに再生可能エネルギーや環境配慮型燃料の導入を拡大していく予定です。
ZEBプランナー認証を取得
消費エネルギーと生産エネルギーの相殺により、実質的なエネルギー消費量がゼロとなる建物「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」が注目を集めています。当社においても当社設計施工のZEB第一弾案件として「ロジクロス座間小松原」(→P.15・16)が2022年3月に竣工しました。
当社は、ZEBの導入を検討されているお客様に対して、ZEB実現に向けたプランニングを実施できる認証制度「ZEBプランナー」の認証を取得しています。
ZEBプランナーは「ZEB設計ガイドライン」や「ZEBや省エネ建築物を設計するための技術や設計知見」を活用し、一般に向けて広くZEB実現に向けた相談窓口を有し、業務支援(建築設計、設備設計、設計施工、省エネ設計)を行い、その活動を公表する事業者です。環境省および経済産業省が実施しているZEBへの補助金事業についてはZEBプランナーの関与が必須となっています。
当社はZEBに対する知見を活用し、お客様へZEB化を目指した最適設計の提案および施工を行い、脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。
省CO2に貢献する技術開発:CO2排出量をリアルタイムで見える化
当社では建設工事における省エネに貢献する技術開発や、既存の技術のブラッシュアップも行っています。
当社開発技術「TUNNEL EYE(トンネル・アイ)」は山岳トンネル施工に伴い換気設備や照明設備が消費する電気エネルギーについて、センシング技術とIoTネットワークを活用して総合的に管理し、最適な環境を維持しながら無駄なエネルギー使用を抑える技術です。当社はこのTUNNEL EYEのブラッシュアップにより、トンネル坑内のCO2濃度に応じて換気設備の出力を最適化する自動制御機能を持たせました。
従来は消費電力量の監視・モニタリングにより、電力由来のCO2排出量(スコープ2)を管理することはできていましたが、今回の開発により現地での直接排出である燃料由来のCO2排出量(スコープ1)をリアルタイムに把握する機能を付加しました。CO2排出量を把握し可視化することで、省燃料運転の取り組み効果が目に見えて分かり、工事従事者の脱炭素化に対する意識向上が期待されています。
今回開発したTUNNEL EYEシステムは、国土交通省中部地方整備局発注の「令和2年度153号新伊勢神トンネル工事」に導入する予定です。


マテリアルフロー
脱炭素化に向けた足元の状況としては、当社の作業所・オフィスにおけるCO2の総排出量は年々減少しているほか、完成工事高1億円当たりの原単位排出量も減少傾向にあります。原単位排出量はトンネル工事など、エネルギー使用量の多い工事の工事量によって変動する要素もあります。
全社的に見れば作業所における省エネ型重機やIC重機の使用、アイドリングストップ等、またオフィスでは、照明のLED化、省エネ型空調設備への更新に加え、2021年度は再生エネルギーを活用した電力の使用拡大を図ることで、脱炭素化の施策の効果が実績としてあらわれてきたと見られます。当社は引き続き、CO2排出削減に向けた具体策を進めてまいります。
INPUT
- 投入エネルギー
-
- 主なグリーン調達品
-
- 型鋼(電炉)4,948 t
- 高炉セメント15,509 t
- エコセメント・コンクリート製品5,276 t
- 透水性舗装1,039 ㎡
- 再生アスファルト合材2,667 ㎡
- 再生砕石14,204 ㎡
- 水砕スラグ931 ㎡
- 再生砂1,098 ㎡
- 再生安定処理土1,616 ㎡
- 流動化処理土4,878 ㎡
- 土壌改良(固化)材3,108 ㎡
- 代替型枠(打込み型枠等)2,534 ㎡
- 断熱材
(グラスウール・ロックウール)62,816 ㎡ - パーティクルボード8,171 ㎡
- 木質系セメント板1,036 ㎡
- 繊維板8 ㎡
- エコクロス2,993 ㎡
- 石膏ボード170,216 ㎡
- 岩綿吸音版16,232 ㎡
- 塩ビ系床材2,838 ㎡
- 再生硬質塩ビ管465 m
- 断熱サッシ・ドア699 枚
- LED照明器具7,610 台
- 太陽光発電システム3 kW
- 日射調整フィルム89 ㎡
- 屋上緑化・壁面緑化285 ㎡
OUTPUT
- 副産物
-
建設廃棄物12.7万t
- 建設汚泥7.0 万t
- 木くず0.3 万t
- コンクリート塊4.4 万t
- 混合廃棄物0.2 万t
- アスファルト塊0.5 万t
- その他0.3 万t