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REPORT3 ゆうちょ銀行大阪ビル 先進施工技術を活用した免震施設の施工

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建物全景(空撮)建物全景(空撮)
エントランス(夜景)エントランス(夜景)

ゆうちょ銀行大阪ビルは、大阪市内の2か所に分散していたゆうちょ銀行の施設を新たに1か所に集約する施設として、兵庫県伊丹市に2020年10月に完成しました。地上8階、延床面積は2万8000㎡を超え、立地は大阪国際空港(伊丹空港)からも近いことから、離着陸する飛行機からもその大きな姿がよく見える特徴的な施設です。
当建物は地上8階の建物全体が免震装置の上に乗った「基礎免震構造」の建物であり、大地震に対するBCP(事業継続計画)にも対応した施設となっています。当建物の施工に当たってはBIM(特集01 大阪中之島美術館参照)の技術による3次元建物モデルをはじめ、VR(仮想現実)技術を活用した「デジタルモックアップ」など、様々な先進技術を活用しました。

工事概要
事業主
株式会社ゆうちょ銀行
設計者
日本郵政株式会社一級建築士事務所
(設計委託:株式会社久米設計)
工事場所
兵庫県伊丹市
工期
2018年4月~2020年10月
工事概要
PC-S造・PCaPC造 免震構造 地上8階
建築面積 4,399.34㎡
延床面積 28,317.11㎡
工事場所 地図
目次

1 - 合意形成に威力を発揮したVR(仮想現実)技術の力

発注者・設計者・施工者の各立場で非常に多くの人員が参加した本工事では、「合意形成の迅速化」のために「デジタルモックアップ」を活用しました。BIM上で構築した建物データとVR(仮想現実)技術を組み合わせ、VRゴーグルを着用することで実際の建物内を歩いているように仕上げやイメージを確認でき、リアリティのある仕上げの検討が可能となりました。

VR(仮想現実)によるデジタルモックアップVR(仮想現実)によるデジタルモックアップ

2 - 外壁の施工~タブレットアプリの活用~

建物の外壁色については、立地する伊丹市の景観計画で定められた明度値の範囲内に収める必要がありました。従来は色合いの測定には高価な機器が必要でしたが、当工事では色を数値化できるタブレットアプリを活用。サンプルの色合いが範囲内に収まっているかを瞬時に確認することができ、工期の短縮やデザインの合意形成の迅速化に役立ちました。
外壁は形状・色合いとも数種類のパターンを組み合わせ、変化のある表情を生み出しています。

南西面外観

3 - BIMの活用~設計・施工~

大地震などの災害時のBCP(事業継続計画)に配慮し、本施設は建物全体が免震装置の上に乗った免震構造となっており、大地震時には建物全体が最大で75cm動き、揺れを吸収します。
地震時に設備配管等が損傷しないよう、各種設備配管の配置計画についてはBIMを活用し干渉チェックを実施しました。三次元データにより地震時の免震装置の動きをシミュレーションし、干渉箇所を可視化することで、多くの時間と労力を要していた確認作業を大幅に迅速化しました。
また揺れの際に建物本体と外周の隙間を塞ぐ「エキスパンションジョイント」は、実際に問題なく動作するかを確認するために実大実験を実施。シミュレーションと実際の挙動が一致していることを確認し、万全を期しています。
施工時には「施工BIM」を活用し、複雑な施工手順を視覚的に理解できるようにしました。

  • BIM上での干渉チェック(免震ピット内)BIM上での干渉チェック(免震ピット内)
  • 免震装置の設置状況免震装置の設置状況

施工現場から

大阪支社建築部作業所長 土肥和也

大阪支社 建築部 作業所長土肥 和也

当建物は特殊な構造で私達も施工の経験がなく、お客様の他物件の施工状況を見学し参考にしたうえで当現場の施工計画をまとめました。躯体の部材と免震装置下部基礎等の実大実験を実施することで、事前に問題事項を見いだすことができ、実際の施工において不合格等による再製作・再施工が無く、高品質な建物をお客様にお引渡しすることができました。
本建物の施工中、同時期に他ゼネコンもゆうちょ銀行様の物件を施工していましたが、お客様より本建物の施工計画・施工精度などを通して高い評価をいただきました。お客様からは「構成するメンバーのレベルで仕事の出来が決まるということを実感した」とお褒めの言葉をいただきました。