お問い合わせ サイトマップ Jp En 検索
menu

CSR

CSR

REPORT2 東北中央自動車道 伊達大橋 先進技術を導入し省人化・省力化施工を実現

  • SDGs 働きがいも経済成長も
  • SDGs 産業と技術革新の基礎をつくろう
  • SDGs 住み続けられるまちづくりを
  • SDGs 気候変動に具体的な対策を
伊達大橋

「伊達大橋」は東日本大震災からの早期復興を図るリーディングプロジェクトとして整備が進められた「相馬福島道路」に位置します。「伊達大橋」は一級河川阿武隈川に架かり、橋長398mと単独の橋梁としては区間最大規模を誇ります。
河川内での通年施工となった当工事では、常に気象状況や河川の水位を把握・予測し、綿密な工程管理・資機材搬入計画が必須となりました。約2年間の工事期間中に計8回の河川増水が発生しましたが、増水が懸念される前日から資機材の撤去、搬出を繰り返しながら施工を行い、東日本大震災から10年目の2021年4月の開通を迎えることができました。
本橋梁の施工に当たっては、様々なデジタル化技術を活用し、施工の省人化・省力化を実現しています。

工事概要
事業主
国土交通省東北地方整備局
設計者
株式会社復建技術コンサルタント
工事場所
福島県伊達市
工期
2018年9月~2021年1月
工事概要
PC4径間連続箱桁橋
(上部工)
橋長398.0m
有効幅員12.00m
総幅員12.78m
免震支承 10基
工事場所 地図
橋梁全景(空撮)橋梁全景(空撮)
目次

1 - マスコンクリートひび割れ抑制(リアルタイム計測システム)

大きな塊状のコンクリート構造体(マスコンクリート)は固まる際に中心部が非常に高温になり、ひび割れなどの悪影響につながります。本工事ではコンクリート内に設置したパイプに通水し冷却する「パイプクーリング」にIoT技術を導入し、タブレット端末やパソコンでリアルタイムでの温度把握と水温制御ユニットの遠隔操作を可能にし、省力化に効果を発揮しました。

パイプクーリング無し(無対策)からパイプクーリングあり(温度制御)の図

2 - PC緊張管理自動化の実証

本橋梁はコンクリート桁と鋼製のケーブル(PC鋼材)を組み合わせ強固な構造を実現していますが、PC鋼材を固定する際には適切な緊張力を導入する「緊張管理」が重要になります。本工事ではレーザー変位計などでPC鋼材の伸び量の測定や緊張管理図の作成を自動化。作業の省人化・省力化を実現するとともに、安全性の向上にも寄与しました。

PC緊張管理自動化の実証の図

3 - グラウト充填管理の自動化(注入管理システム、充填検知システム)

本工事ではPC鋼材の固定時のグラウト(充填材)注入作業に「グラウト注入管理システム」を導入。注入作業時の流量・圧力・温度をパソコンで一括管理し、計測記録の自動保存により報告書の作成も容易になり、事務作業の省力化にもつながりました。
またグラウト注入時の空隙発生防止として、光ファイバーと光検知センサーを利用した「グラウト充填検知システム」を導入し、管理作業の省力化を実現しました。

グラウト充填管理の自動化の図

4 - 橋面自動測量システム

橋脚の上から両側に橋げたを伸ばしていく「張出し架設」の際には自重により先端部がたわむため、たわみ量を考慮し最終的に設計通りの高さにするための管理が必要です。本工事ではトータルステーションによる自動測量技術を導入し、橋面の連続自動計測を行いました。
今後さらに同種の工事で自動測量技術のブラッシュアップを進め、移動作業車(ワーゲン)に設置した装置での自動測量のほか、レーザー光による型枠位置の「ナビゲーション機能」などの新システムの試行により、更なる施工管理の効率化と品質向上を図ります。

新システムの開発イメージ新システムの開発イメージ

施工現場から

東北支店土木部作業所長 櫻井尚久

東北支店 土木部 作業所長櫻井 尚久

当工事は河川内での施工であったため、大雨時などの河川増水のリスクを考慮し、河川内の資機材は最小限の仮置きに留め、増水が懸念される際には常に資機材を移動・撤去しながらの施工となりました。
2019年10月には全国で大きな被害を出した「台風19号(令和元年東日本台風)」の影響で阿武隈川でも堤防が決壊し流域の市町村で浸水の被害が発生しました。当作業所でも当時、張出し架設施工中でしたが、常に気象予報を基に打合せを行い、河川内からの重機や資機材の退避などのリスク回避につながる対策を意識的に取ってきたことで被害を最小限に留めることができました。

張出し架設の様子張出し架設の様子