CSR


大阪市中心部を南北に縦貫し、新大阪駅と関西国際空港をつなぐ新たな都市鉄道「なにわ筋線」の整備が本格化しています。現在2031年春の開業を目指し、当社も「(仮称)西本町駅」の駅部土木工事を担当するほか、「(仮称)北梅田駅」が設置される予定の大阪駅北ヤード地区、通称「うめきた」の線路地下化工事にも参画しています。
「なにわ筋線」はJR大阪駅に隣接して設置される「(仮称)北梅田駅」から「(仮称)西本町駅」を経由し、JR難波駅及び南海本線新今宮駅をつなぐルートで計画されている新たな鉄道路線です。完成により大阪のキタとミナミを結び、既存の各鉄道路線と接続させることによる鉄道ネットワークの強化や乗降客の分散効果、関西国際空港や新幹線新大阪駅へのアクセス改善・時間短縮効果が見込まれています。「なにわ筋線」により新大阪駅から大阪・梅田、中之島、難波、新今宮、そして関西国際空港をつなぐ新たな都市軸が形成されることは、大阪の更なる開発促進・国際競争力強化、ひいては関西地域の一層の活性化につながります。
大阪では2025年に夢洲地区で大阪関西万博の開催も予定されているほか、東京(品川駅)と大阪(新大阪駅)を結ぶリニア中央新幹線も計画されており、「なにわ筋線」の整備が大阪の更なる発展と活性化の起爆剤となることが大いに期待されています。当社も創業の地である大阪における一大プロジェクトへの参画を通して、社会資本整備と大阪都市圏の発展への貢献を目指しています。

関西高速鉄道なにわ筋線西本町駅部土木工事

3D施工計画(埋設管位置)
3D施工計画(掘削)
- 工事概要
-
- 事業主
- 関西高速鉄道株式会社
- 設計
- ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
- 工事場所
- 大阪府大阪市西区阿波座
- 工期
- 2020年12月~2028年3月(予定)
- 工事概要
- 掘削工 196,510㎥
埋戻し工 59,162㎥
躯体コンクリート 49,615㎥ ほか

大阪支社 土木部
作業所長土江 徹志
大阪市都心部に新駅誕生
当社が施工を担当する「(仮称)西本町駅」は、多くの企業がオフィスを構えるビジネス街に位置し、駅予定地の北部には緑豊かな靭公園も広がるなど、近年大阪市の都心回帰の流れの中で、職住近接の理想的なエリアとして注目が高まっています。工事は開削工法によって鉄道トンネルを建設するもので、工事区間は約350m、掘削幅が20~30m、掘削深さが25~30mの計画となっています。大阪駅方面は円形トンネル2本が並列した構造で西本町駅に接続し、難波方面はJRと南海電鉄の各路線に分岐するため、円形トンネル3本で接続する構造となります。工期は2020年12月から2028年3月までの87か月を予定しています。
DX化で地域に配慮した施工を計画
本工事では環境への配慮として、太陽光などの再生可能エネルギーの積極利用やLED仮設照明の使用によるエネルギー使用量の削減、また転用回数が多い鋼製型枠の使用等による建設廃棄物の削減などの取り組みを予定しています。
また建設現場のDX化として、パソコン上での3Dデータを利用した施工計画により埋設管路の位置や近接建物への影響を事前に把握し施工を行うほか、施工に関する説明会等でも3D動画等を活用し、合意形成や意思決定の迅速化を図ります。また近隣の方々に向けてはデジタルサイネージを使用した案内看板を設置し、工事予定やう回路の標示に活用するほか、防犯カメラの設置等で地域の安全向上にも貢献します。

JR東海道線支線北2地区T新設他工事
うめきた2期開発イメージ(2020年12月時点 イメージパース)
現在地上にある線路(白線)を地下化して移設(黄線)しています。現在の工事状況と横を走行する列車
- 工事概要
-
- 事業主
- 西日本旅客鉄道株式会社
- 設計
- ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
- 工事場所
- 大阪府大阪市北区大深町
- 工期
- 2015年9月~2022年2月(予定)
- 工事概要
- 工事延長 310m
土留工 16,915㎡
掘削工 47,439㎥ ほか

大阪支社 土木部
作業所長丸山 達彦
まちづくりの基盤となる線路地下化工事
なにわ筋線の北側の起点となる「(仮称)北梅田駅」が設置される予定となっているのが、現在「うめきた」として大規模な再開発が進行中の大阪駅北ヤード地区(うめきたヤード)です。当社は現在、このうめきた2期区域のまちづくりの基盤となる、線路地下化工事を行っています。
当工事は、現在うめきた地区の西端地上を走行している東海道線支線を移設・地下化することで、鉄道で分断された地区を一体的に利用できるようにするものです。
当工区のエリア内で計画線と仮線を早期に交差させる必要があったため、当工事は2016年2月、他工区に先駆けて工事が始まりました。当工区の所在する「うめきたヤード」では多くの建設会社が工事を行っています。その中で「うめきた協議会」を発足させ、情報共有の徹底と共同での騒音・振動・粉じん対策を行うなど、各社と一体となり工事に伴う近隣の方々への影響を最小限に抑えるための対策を徹底しました。また「うめきた協議会」では地元一斉清掃などの社会貢献活動も実施しています。

地域に開かれた作業所を目指して
当工区はプロジェクト第1着手工区として、見学会対応の拠点となったため、デジタルサイネージを導入し、工事概要を閲覧できるようにしたほか、地域にお住まいの方々を対象とした現場見学会を開催するなど、情報発信にも力を注いできました。
また施工に伴う関係者との情報共有・合意形成に際しても、打合せ時にタブレット端末を活用し会議のペーパーレス化を図っています。施工時にもタブレット端末を活用して各種施工支援アプリを活用し、工事施工のDX化に向けた取り組みを行っています。
施工中の新線は2023年春の開業を目標とし、現在工事が進められています。2021年7月現在、地下函体280mの構築が完了しており、2021年度中に残り30mを完成させる予定です。
錢高組の地下鉄工事の歴史と実績

当社はこれまでにも、日本各地の地下鉄工事に参画し、多くの実績を残してきました。
大阪では戦後いち早く再開された御堂筋線の延伸工事への参画を皮切りに、四つ橋線・谷町線・中央線・千日前線・堺筋線等の各線の建設工事を担ってきました。当社が施工した主な実績としては、本町駅(四つ橋線)・恵美須町駅(堺筋線)・西長堀駅(千日前線)・なかもず駅(御堂筋線)等があります。
東京では1960年完成の都営浅草線「蔵前駅」を皮切りに、営団地下鉄(現 東京メトロ)日比谷線・東西線・千代田線・有楽町線・半蔵門線・南北線・都営地下鉄浅草線・三田線・新宿線・大江戸線など各線で施工を担当しています。
営団地下鉄(現 東京メトロ)日比谷線と都営地下鉄浅草線が乗り入れる「東銀座駅」は歌舞伎座前に位置し、当時の施工中の写真が今も残されています。この写真は2017年に東京メトロのポスターにも採用され、各駅に掲示されました。
また丸の内線・東西線・千代田線・半蔵門線・三田線の各線が乗り入れ、地下鉄駅としては日本最大規模の「大手町駅」では東西線・千代田線・半蔵門線の各線を担当し、各線が重なる複雑な条件の中で難易度の高い施工を行いました。
そのほかにも札幌・仙台・横浜・名古屋・京都・神戸・福岡など日本各地の地下鉄建設に参画しているほか、海外でもブラジル・リオデジャネイロの地下鉄建設に参画しました。2021年現在も大阪・なにわ筋線の西本町駅のほか、福岡市地下鉄七隈線の新駅建設工事が進行中です。