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REPORT2 国道158号 大白川大橋 深い谷間を跨ぐ狭隘な地で、交通難所の解消に貢献

  • SDGs 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • SDGs 住み続けられるまちづくりを
  • SDGs つくる責任つかう責任
  • SDGs 陸の豊かさも守ろう
橋梁全景:左が大白川トンネル、右が新入山トンネル 中央を流れる大白川の両岸を走り急カーブしているのが現道(国道158号)▪橋梁全景:左が大白川トンネル、右が新入山トンネル 中央を流れる大白川の両岸を走り急カーブしているのが現道(国道158号)
谷間から24mの高さにまで立ち上がる橋脚▪谷間から24mの高さにまで立ち上がる橋脚
PROJECT DATA
工事名
R1国道158号 奈川渡改良大白川橋
上部他新設工事
事業主
国土交通省 関東地方整備局(権限代行事業)
工事場所
長野県松本市
工期
2020年3月~2023年5月
工事概要
PC2径間連続PCTラーメン箱桁橋
橋脚・橋台各1基、深礎杭4本
工事場所 地図
目次

地域の交通の安全性を向上する橋梁

長野県松本市と福井県福井市を結ぶ国道158号は、上高地や白骨温泉などの観光地をつなぐ道路として観光バスなどの大型車両の交通が集中しているほか、地域の物流や生活を支える重要な道路となっています。しかし一部区間には大型車のすれ違いが困難な小さなトンネルが複数存在するほか、急カーブや狭い道路幅員などの危険箇所を抱えています。これらの解消のために奈川渡改良事業が進められており、大白川トンネル(2021年完成・当社施工)と新入山トンネル(当社施工中)の間の谷間に位置する「大白川大橋」が2023年5月に完成しました。
本橋梁は大白川が流れる深い谷間の上に掛かり、さらに谷の両岸部を国道158号がヘアピン状に走っている複雑な地形で、工事中も国道158号の車両通行を止めないために、非常に限られたスペースでの施工が求められました。本工事では施工手順の工夫や特殊な機材を用いることで、交通規制を可能な限り削減して交通を妨げない施工計画を選択しました。

桁下で交差する現道の建築限界を確保

深い谷間に架設する橋梁のため、上部工の施工では地上に足場を組まずに、「ワーゲン」と呼ばれる移動作業車を用いた張出架設を行いました。しかしながら国道158号の直上部では通常のワーゲンの場合、車両が通行するための高さが確保できません。そこで本工事では当社保有の超低床型ワーゲンを用いて車両の通行に必要な建築限界を確保し、通行車両の制限を設けずに施工を行いました。
施工時には超低床型ワーゲンを改良して下段作業台の高さを変化させ、ワーゲンの移動作業時には常に国道との離隔を確認しながら作業を行いました。架設完了後のワーゲン解体時には交通規制が必要でしたが、解体計画を詳細に検討することで短期間の交通規制とし、交通への影響を極力抑えることができました。

車両が通行する高さを確保▪車両が通行する高さを確保

通常とは異なる手順で橋台を構築
~上部工を利用した特殊なステップ~

当工事では新入山トンネル側の橋台を施工するための作業スペースがない中で、交通規制を極力避けて一般車両の通行を確保するため、上部の橋面上から下部の橋台を施工する特殊な施工ステップを採用しました。
中央の橋脚から両側に張出架設して完成させた上部工(橋げた)の上に重機を設置し、落石対策工事や地山の掘削、杭の施工、橋台の構築から最終的な上部工との接続部の施工まで、全ての作業を橋面上から行いました。落石対策や資材の落下防止を徹底して作業を行い、交通を妨げることなく施工することができました。

上部工を利用した特殊なステップ

厳冬期におけるコンクリートの品質確保の取り組み

長野県松本市は冬季の最低気温がマイナス10℃を下回り、日中も0℃前後の日が続くためにコンクリートの品質確保にあたっては温度管理が大きな課題となりました。
本工事は谷間という立地もあり、厳冬期には日照時間がわずか3時間程度で常に氷点下となり、施工中の最低気温はマイナス15℃にもなりました。対策としてコンクリート打設の前日から熱風ヒーターを用いて型枠内の凍結を防止し、コンクリート打設中も熱風ヒーターで打設直後の凍結を防止しました。コンクリートの養生ではワーゲンを防炎シートで覆い、温度が5℃を下回ると自動で熱風ヒーターが作動するように設定して温度を保ちました。熱風ヒーターのほかに深礎杭の施工においては練炭を用いて給熱養生を行いましたが、本工事は山間部であり枯れ木に燃え移って山火事とならないよう、火気の取り扱いを厳しく管理しました。

厳冬期の保温養生状況▪厳冬期の保温養生状況

施工現場から

作業所長 宮澤 祐蔵

作業所長宮澤 祐蔵

交通・環境への配慮を通じて地域の理解を得る奈川渡改良事業は地元の交通に密接にかかわる事業であり、道の駅やコンビニエンスストア、近隣住民の方々などから「いつ開通するのですか」と質問されるなど、地元の方々に非常に注目された工事でした。張出架設中はワーゲンでの施工に興味を持つ方が多く、橋梁の進捗を楽しみにしているという声もよく聞かれました。
また、当工事は観光地に向かう道路の途中に位置することから、5~11月には非常に多くの観光客が訪れる箇所であり、特に紅葉シーズンには車やバイクを止めて紅葉と一緒に写真撮影をしていく方も多く見られました。自然豊かな環境のため、現場内に侵入してくる猿、熊、カモシカ等の野生動物の対応には非常に苦慮しました。
施工期間中は新型コロナウイルスの影響により、残念ながら現場見学会を開催することはできませんでしたが、毎月工事のお知らせを地域の方々に配布して工事の進捗をお伝えし、工事へのご理解をいただくことができました。残る奈川渡改良事業の新入山トンネルも当社で施工中であり、高品質な施工を継続して奈川渡改良事業の推進に貢献してまいります。