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滋賀県警察本部庁舎
北東面外観(琵琶湖側より)
我が国有数の景勝地、琵琶湖のほとりに、安全性、信頼性と環境配慮を兼ね備えた庁舎が誕生しました。大震災など万一の災害発生時にも県民の安全と暮らしを守る警察活動の拠点として必要な、高い危機管理機能を備えています。また地球環境にも優しい庁舎として数多くの省エネ対策を採用するとともに周辺の景観にも十分配慮した建物です。
南東面外観
西面外観
周辺地図
工事概要
工事名 | 滋賀県警察本部庁舎新築(建築)工事 |
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施工場所 | 滋賀県大津市 |
建築主 | 滋賀県 |
設計・監理 | 株式会社日本設計 |
工期 | 2005年10月17日~2008年12月19日 |
構造・規模 | 鉄骨造(一部RC、SRC造) 地下2階 地上10階建 |
建築面積 | 3,404.29m2 |
延床面積 | 28,700.17m2 |
建物 Building
■高度な安全性と信頼性
万一の大規模災害発生時にも庁舎機能を維持するため、地下機械室を含めた庁舎全体に免震構造を採用しています。
また、緊急事態に迅速に対応するための屋上ヘリポートと庁舎の間には免震装置が組み込まれ、建物に作用した地震力を減衰させる付加質量制振構造とすることで、地震に対する、より高度な安全性を備えています。
その他、電力・通信回線の二重化、空調機能・非常給排水機能の確保など、ライフラインにも高い信頼性を有しています。
屋上ヘリポート
免震装置
■自然通風の利用
外部カーテンウォール(ダブルスキン構造)に設けた通風口(ガラリ)から採り込んだ自然風を、廊下側内壁の欄間窓を通してアトリウムへと導き、吹抜けの煙突効果を利用して最上部のバランス式逆流防止窓から排気します。これにより、春や秋の中間期の冷房負荷を低減します。
また、夏季には外部カーテンウォールの内側に設置した電動ブラインドにより日射を制御し、冬季は通風口(ガラリ)を閉じて断熱効果を高めます。内側ガラスはLow-Eガラス(高遮熱断熱ガラス)を全面に使用し、外部からの熱負荷をさらに抑制します。
■高い省エネを実現する設備システム
床下の配線スペースを利用した床吹き出し方式を採用し、居住域に対する効率の良い空調を行っています。また、コ・ジェネレーション設備は、発電機からの排熱を冷・暖房や給湯に有効利用するほか、災害時の電力確保にも利用します。
アトリウムの前面ガラスと駐車場出入口の屋根部分には太陽光発電装置を設置しています。このうち、アトリウムには採光と眺望も確保できる薄膜結晶シースルータイプを採用しています。
様々な省エネルギー手法の採用により、一般建物と比べて消費エネルギーの約15%削減を図っています。
風の流れと空調システム
アトリウムの吹抜け
ダブルスキン構造
施工 Construction
■山留め工事
琵琶湖を望む庁舎の敷地は地下水位が非常に高く、山留め壁には土圧に対する剛性だけでなく遮水性も要求されました。そのため山留め壁の深度がGL-40mを超え、通常のSMW(ソイルセメント連続壁)工法では施工が困難な範囲にCRM工法(Continuous walls using Recycled Mud)を採用しました。
CRM工法は、RC連続壁の技術を用いて施工精度、品質に優れたソイルセメント連続壁を施工する工法です。現地掘削土をセメントと混練して壁体材料にするため、掘削土の搬出を減らし、外部からの生コン車の搬入もないので、環境負荷を大きく低減できます。
■免震層擁壁にハイブリッド地下壁工法を採用
免震層を囲む地下17mまでのRC擁壁には当社が開発したHBW(ハイブリッド地下壁)工法を採用しています。
ハイブリッド地下壁工法は、ソイル連続壁の芯材(H鋼)に頭付きスタッドを取付け、RC擁壁との合成壁とする工法で、建築技術性能証明を取得しています。
■揚重計画の効率化
揚重に使用したタワークレーンはフロアクライミングを行い、クレーン下部の仕上げ施工時期を早めることで工期の短縮を図りました。
また、大型の仕上げ材や空調機器などの搬入にはリーチバランサー(荷取り吊治具)を併用し、側面からの搬入を行いました
CRM工法
CRM工法
3段目切梁施工状況
4節鉄骨建方
屋上鉄骨建方