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工事レポート

丸巳雪氷冷房冷蔵施設

2011年05月 UP
丸巳雪氷冷房冷蔵施設

北面外観

当建物は、大雪山の麓に建つ雪氷冷熱エネルギーを利用した野菜と米の貯蔵庫です。
多雪地域では古くから「雪室(ゆきむろ)」という施設が使われてきました。「雪室」は、冬に積もった雪を夏まで保管し、食物などの保存に使う天然の冷蔵庫です。この原理を現代の技術で再現したのが雪氷冷熱エネルギー利用技術です。
自然エネルギー活用法として最近特に注目されており、冷蔵・冷凍庫のほか、一般建物の空調に利用されることもあります。

位置図

南面外観

農作物倉庫

工事概要

施工場所 北海道上川郡東川町
建築主 有限会社 丸巳
設計・監理 株式会社 山下設計 北海道支社
工期 2011年3月23日~2011年8月12日
構造・規模 S造1階建
建築面積 2,875.94m2
延床面積 2,872.66m2
 

建物 Building

■雪氷冷熱エネルギー利用作物貯蔵施設について
野菜・米を冷蔵貯蔵することで、生産者は出荷時期の調整による価格の安定を得ることができます。また、鮮度が保たれるだけではなく、ジャガイモのように冷温で貯蔵することで旨味や栄養分が増加する作物もあります。
この冷温貯蔵施設の運用に雪氷の冷熱エネルギーを利用することで、冷蔵貯蔵のランニングコストやCO2排出量を大きく削減することができます。

貯雪庫

雪の搬入

搬入完了

雪や氷の貯蔵方法としては、

1.貯雪庫に雪を搬入する
2.雪や氷をコンテナに詰めて貯蔵倉庫に併置する
3.貯氷庫内の水槽の水を冬期の外気で氷結させる
4.沼などに張った氷を切り出して使用する

などの方法があります。丸巳雪氷冷房冷蔵施設は、1の貯蔵庫に雪を搬入する方法です。
一方、貯蔵庫や室内に雪氷の冷熱を供給する主な方法として次の4つがあり、丸巳雪氷冷房冷蔵施設では、下記C.の直接熱交換冷風循環方式を採用しています。

A.融解水直接循環方式

B.熱交換冷水循環方式

C.直接熱交換冷風循環方式

D.自然対流方式(雪室)

■丸巳雪氷冷房冷蔵施設について
雪氷エネルギー利用貯蔵施設の計画では、貯蔵対象物の呼吸熱と外部からの熱貫流量を計算し、必要な貯雪量を決定します。 丸巳雪氷冷房冷蔵施設では、周辺に積もった雪4,300tを重機を使って貯雪庫に搬入します。今年の雪の搬入作業は3月29日に完了しました。4月からこの雪を使った冷蔵を開始します。
雪氷エネルギー利用による米の貯蔵庫は多く建設されていますが、野菜貯蔵庫は事例が少なく、雪氷冷熱利用の効果に関心が寄せられています。直接熱交換冷風循環方式による雪氷冷熱利用は、低温高湿度の貯蔵環境が求められる農作物にとっては最適な貯蔵方法です。

熱供給方式:直接熱交換 冷風循環方式
貯蔵物:アスパラ、ブロッコリー、スウィートコーン、にんじん、ジャガイモ、大根、米
貯蔵条件:温度5℃、湿度75~95%
貯雪量:4,300t
特徴(効果): 省CO2、鮮度保持、糖度増加、防塵、脱臭

システム概念図

施工 Construction

工事は、2011年4月初旬に着工し、8月12日に竣工という短工期の中、東日本大震災の影響による断熱材の品不足に遭遇しました。貯雪庫の屋根と壁の断熱材は厚さ200ミリ、農作物倉庫の屋根と壁は厚さ100ミリと、一般の断熱材よりボリュームが大きいため、道内各地から材料を集めることで予定の工期内に竣工することができました。