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工事レポート

国際核融合エネルギー研究センター管理研究棟他新築工事

2010年03月 UP
国際核融合エネルギー研究センター管理研究棟他新築工事

完成建物全景

国際核融合エネルギー研究センターは、次世代のエネルギー源となる核融合エネルギーの早期実用化のために、青森県上北郡六ヶ所村に設置された研究施設です。2009年3月に管理研究棟が完成し、既に研究活動は始まっていますが、2010年3月全ての実験施設が完成しました。今後は研究活動が本格的に進み、世界へ研究成果を発信する国際プロジェクトの拠点となります。

工事概要

工事名 19青森ITER(BA)国際核融合エネルギー研究センター管理研究棟他新築工事
施工場所 青森県上北郡六ヶ所村
発注者 独立行政法人 日本原子力研究開発機構
設計者 株式会社 佐藤総合計画
工期 2008年3月~2010年3月
構造・規模 S造3棟、地上3階建
建築面積 5,086m2
延床面積 8,416m2
 

国際核融合エネルギーセンターについて

1972年より青森県六ヶ所村では、国家的プロジェクトとして「むつ小川原開発」が始まり、国家石油備蓄基地、原子燃料サイクル施設、風力発電施設などのエネルギー関連の新たな取組みが進められています。
そのうちの一つ「国際核融合エネルギー研究センター」は、フランスに建設中の国際熱核融合実験炉『ITER』計画を補完する、幅広いアプローチ(BA)活動の為の施設です。ここでは安全で恒久的なエネルギー源である核融合の早期実用化のための研究が、国際的な共同事業として行われます。

位置図

核融合とは

核融合は、軽量の原子核(重水素と三重水素)を高温高速で衝突させ、より重量のある原子核(ヘリウム)へと融合させる反応です。反応後には、粒子間の結合力が増すことによって合計質量はわずかに減少しますが、この減少した質量分のエネルギーがヘリウムと中性子の運動エネルギーとして発生します。
これは太陽で起きている現象でありますが、地上での実現が可能になれば、人類は核分裂(現在の原子力発電のエネルギー源)に比べてはるかに安全で、温暖化ガスの排出を伴わない、半永久的に供給可能なエネルギー源を得ることになります。

核融合反応(左)とエネルギー発生の仕組み(右)

工事について

今回の建設工事には、建築・土木・機械設備・電気設備を担当する数多くの企業が携わりました。その中で当社は3つの建物の建設を担当し、独立行政法人日本原子力開発機構から統括安全管理の指名を受け、施工関係各社の連絡調整を行いました。
建設地は強風と地吹雪の地域でありますが、冬期における毎日の除雪作業やコンクリートの品質管理を徹底して行い、約2年間の工事期間、無事故を達成し、無事に完成引渡しを終えることができました。

当社が施工を担当した建物

■管理研究棟
研究員やスタッフの為の40以上の研究室や居室のほか、会議室や視聴覚室、展示ホール、事務・管理部門のスペースなどが設けられています。

■原型炉R&D棟 (Research and development:研究開発)
原型炉の概念設計研究を実施し、原型炉の早期実現へ向けて、関連する研究開発活動を調整するとともに予備的研究開発を実施します。

■計算機・遠隔実験棟
スーパーコンピュータを用いて、核融合反応を起こすプラズマの状態、次世代核融合炉設計、先進材料開発などに関連するシミュレーションを実施します。また、フランスのITER実験施設と高速ネットワークを結び、この六ヶ所村の遠隔実験センターの研究者が、ITERの実験条件の提案・データ収集・解析などを行います。
2010年3月に全ての建物が完成し、スーパーコンピュータや実験装置の設置が進められています。今後はこれらの設備を用いた本格的な研究活動が始まります。

管理研究棟

原型炉R&D棟

計算機・遠隔実験棟