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東部地域振興ふれあい拠点施設
完成建物北面外観
■省CO2最先端モデル建物 東部地域振興ふれあい拠点施設
当建物は、埼玉県と春日部市の共同事業として建設された、産業の振興と地域住民の活動・交流を促進するための複合拠点施設です。省CO2の最先端モデルとして、今後の公共施設のさきがけとなる建物として計画されており、1階から4階までは鉄骨造、5階と6階は木造という、他に類を見ないハイブリッド構造です。
2010年10月1日には「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されました。環境保護、国産資源の有効活用に加えて癒しの効果も期待できることから、公共建築に限らず、今後は建築における木造率は増大すると思われます。当社は、今回の施工経験を活かして、様々な木造建築の実現に積極的に取り組んでいきます。
工事概要
施工場所 | 埼玉県春日部市 |
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建築主 | 埼玉県・春日部市 |
事業主 | 埼玉県・春日部市 |
設計・監理 | 株式会社 山下設計 |
工期 | 2010年8月6日~2011年9月30日 |
建物概要 | 鉄骨造(1~4階、PH階)、木造(5、6階) |
建築面積 | 2,848.04m2 |
延床面積 | 10,529.08m2 |
建物 Building
5階と6階を木造とすることで、鉄骨造や鉄筋コンクリート造にした場合と比較して、建設・解体時に発生するCO2の量を大幅に低減しています。外周と中庭の計8面の壁には、鋼製枠にLVL(単板積層材)パネルを組み込んだ耐震フレームを取り付け、カーテンウォールで覆っています。外壁の室内側はLVLパネルの表わし仕上げとなっています。
設備の面では、太陽光発電や太陽熱、井戸水の利用をはじめ、地中熱の空調利用や輻射冷暖房など、様々な環境技術を採用しています。これにより、供用中のCO2排出量を大幅に低減しています。
輻射冷暖房は空気の熱伝導や対流ではなく、輻射パネルからの放熱による空調方法で、低い温度差で快適に感じる事が出来るため、省エネルギーの効果があります。場内で汲み上げた井戸水は、1・3階の輻射空調に一次利用し、次にヒートポンプで熱を汲み上げ、4階の輻射空調などに利用します。空調に利用した後の井戸水は、敷地西側の水路に利用し、最終的にトイレの洗浄に使われます。
建物断面図
構造概要
4階 中庭の屋上緑化
LVL(単板積層材)パネル 室内側表わし仕上げ
屋上 集熱パネル
4階 交流・ミーティングスペース 縦形輻射パネル
天井放射パネル
2階~3階 環境ギャラリー
施工 Construction
鉄骨造と木造が切り替わる5階では、床に設置したベースプレートにスリット入り柱を建込み、建入れ調整の後、ピンを打ち込んで固定しています。柱に対して、一方向の梁は接合プレートを介してボルト固定します。直行方向の梁と小梁、根太は、欠込みに落とし込んで組立てています。接合部は全てピン構造で、水平力は床と外周の耐震フレームで負担する構造です。
床には、厚さ24mmの構造用合板を使用し、根太の上に互い違いに敷き並べて釘止めしています。釘打ちの際はガイドを使って、正確に打ち込みました。外周の耐震フレームは、先に取り付けた鉄骨フレームにLVLパネルを内外両側からはめ込み、木造用の大型スクリュー釘で留めています。
木造は鉄骨造に比べて建設時のCO2排出量が少ないのですが、建物の利用終了時に部材を解体して再び建材として利用することで、より一層環境負荷を低減出来ます。本建物で使用する木材は、樹種・強度等級・製造者名等を記したラベリングを行い、資材の再利用促進に配慮しています。
耐震フレームの構成
5、6階の木造部分の施工状況
5階柱脚
5階柱梁建方完了
6階床張り状況
6階木構造工事完了状況
木質耐震パネル取付け
木材ラベリング