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プロジェクトストーリー

錢高組技報 ZENITAKA Technical Report

錢高組技報2019-No.44

論文・報告

1

音響管を用いたニューマチックケーソンの排気騒音低減装置の開発

角田晋相

論文

ニューマチックケーソン工法は、他の基礎工法と比べ有利な特徴を持っていることから広く採用されている。しかし、市街地での施工においては高圧空気の排気に伴う騒音発生が問題となる。一般的には、消音マフラーによる騒音対策が行われるが必ずしも全周波数帯で十分な効果は得られていない。
そこで、音響管の共鳴原理を用いた消音装置を従来の消音マフラーに付加することで、消音効果を向上させる技術を開発した。開発においては、縮尺モデルによる実験で排気騒音に対する適用性および効果を確認し、実施工に導入することで実機での音圧低減効果を検証した。

key words:ニューマチックケーソン、排気騒音対策、音響管、共鳴

2

分割されたFFU セグメントの継手の開発

原田尚幸 八重島吉典

論文

シールドトンネルに分岐・合流部を構築する場合、既設トンネルの側方セグメントを直接切削する技術の一つとしてFFU(Fiber reinforced Foamed Urethane)セグメントがある。しかし、本管に対して接続管の径が比較的大きい場合、切削する開口率が大きくなり、一体物のFFU セグメントでは施工できない等の課題が生じた。そこで、FFU セグメントを分割しトンネル坑内で組み立てる方法を採用するためセグメント間継手の開発を行った。本報では、FFU セグメント間継手の適用範囲およびせん断耐力、圧縮耐力について報告する。

key words:FFU セグメント、分岐合流、ほぞ継手、せん断耐力、圧縮耐力

3

床スラブとの合成効果に期待した鉄骨梁横補剛工法

五十嵐治人 相羽修均 鞆 伸之

論文

鉄骨梁の設計において、横座屈に対する検討は欠かすことが出来ない。鉄骨梁の横座屈を防止する手段として、横補剛材を設けることが一般的であり信頼性も高いが、横補剛材、ボルト、ガセットプレートなどが必要となり、コスト、工期の面では好ましくない。一方、建物の梁は通常は床スラブと合成構造をなす。床スラブと合成された梁は、上フランジの水平移動、梁材軸回りの回転を抑えられ、横座屈には有利である。
本工法は、この点を積極的に考慮して、床スラブによる横補剛効果を定量的に評価し、これまで使用してきた横補剛材を省力化してコストダウン、工期短縮を目的とする。ただし、横補剛材は上下フランジの水平移動を拘束できるが、床スラブは上フランジのみ拘束が出来るため、床スラブによる横補剛効果は万全とは言い難い。今回、フレーム実験および有限要素法解析を実施し、その有用性を確認した。これらの結果について報告する。

key words:鉄骨梁。横座屈、床スラブ、フレーム実験、シアコネクタ

4

ひ素・ふっ素用重金属吸着マットの開発(実証試験結果)

笠水上光博

論文

都市圏大規模開発や道路・鉄道のトンネル工事等で大量に発生する、ひ素や鉛・ふっ素などの重金属等建設発生土に対して、より合理的な処理方法が求められている。
“重金属吸着マット”は、主に北海道内で採用実績が増えている待ち受け型封じ込めの“吸着層工法”のプレキャスト版として位置づけられる。
2018 年に、JFEミネラルと共同開発したふっ素用の重金属吸着マットの開発経過と実証試験(盛土暴露試験)の経過を報告した。
本報告では、ふっ素用の重金属吸着マットの盛土暴露試験の結果と吸着能力の評価について報告する。また、既開発のひ素用の重金属吸着マットについても、合わせて盛土暴露試験を行っており、その結果と吸着能力の評価についても報告する。

key words:土壌汚染対策、環境保全、トンネル工事、自然由来土壌汚染、ふっ素、ひ素

5

高炉スラグ微粉末を混和材として用いたコンクリートの性状 その1 試験概要とフレッシュ性状

薗井孫文

論文

コンクリートに多用しているポルトランドセメントの製造には二酸化炭素(766.6kg-CO2/t)発生量が多い。現状において製造される高炉セメントはB 種が殆どであり、A 種およびC 種の市場への一般の流通はない。このような背景の中、高炉スラグ微粉末を幅広い使用率(0~70%)で混和材料として用いたコンクリートについて、その各種性状を把握し、建築物への汎用的な適用について検討を行った。その1 では、試験概要とフレッシュ性状等を検証した結果について報告する。

key words:環境配慮型コンクリート、高炉スラグ微粉末、使用率、ブリーディング、凝結

6

高炉スラグ微粉末を混和材として用いたコンクリートの性状 その2 硬化後のコンクリート

薗井孫文

論文

コンクリートに多用しているポルトランドセメントの製造には二酸化炭素(766.6kg-CO2/t)発生量が多い。現状において製造される高炉セメントはB 種が殆どであり、A 種およびC 種の市場への一般の流通はない。このような背景の中、高炉スラグ微粉末を幅広い使用率(0~70%)で混和材料として用いたコンクリートについて、その各種性状を把握し、建築物への汎用的な適用について検討を行った。その2では、主に硬化コンクリートの圧縮強度および静弾性係数などについて報告する。

key words:環境配慮型コンクリート、 高炉スラグ微粉末、圧縮強度、凍結融解

7

新幹線直上部における鋼道路橋の送り出し施工 -上信自動車道跨線橋-

八若幹彦 今牧修二

論文

上信自動車道Bo は、地域高規格道路である上信自動車道が上越新幹線を跨ぐ箇所において立体交差する橋長46.5m の鋼単純非合成箱桁橋である。本橋は上越新幹線に対して斜角を有する曲線形状の跨線橋で、当初案では曲線送り出しによる架設が計画されていたが、施工の簡便性および新幹線直上における作業日数の低減を図るため、直線送り出しと回転横取りの併用による架設方法への変更を試みた。
本報告では、新幹線近接下における下部工施工、新幹線直上部における桁架設方法、新幹線近接工事の安全管理について、施工の概要および新たな取り組みについて報告する。

key words:送り出し、桁降下、回転横取り、自走台車、新幹線近接、上下部工、跨線橋

8

JR 営業線および市道に挟まれた狭隘部でのPC 桁架設 ー 九州新幹線(西九州)、第1 本明川橋りょう(PC けた)-

宮澤祐蔵 告中修平 丹羽 聡 佐藤博三郎 上田高博

論文

九州新幹線(西九州)、第1 本明川橋りょう(PC けた)工事のうち、工事終点に位置する栄田Bv(PCT 桁L=26m)、第3 栄田BL(PCT 桁L=44m)は、JR 大村線および市道永昌下大渡野線に挟まれた狭隘なスペースに架設する橋りょうである。この2 橋は、JR 営業線に近接しており、かつ市道を交通規制してのPC 桁架設となるため、限られた施工スペースで安全に桁架設できる方法を検討した結果、設計では門型クレーン+架設桁架設で計画されていたが、第3 栄田BL については架設桁架設+クレーン架設、栄田Bv については架設桁架設+横取り架設工法を採用した。

key words:九州新幹線、営業線近接工事、ポストテンションPPC 単純T 桁、大型クレーン、横取り装置

9

新幹線工事に伴う河川の瀬替えにおける工期短縮事例 -北陸新幹線、八日市川橋りょう他-

松橋立樹 下道輝希 安井 満 中山雅雄 土江徹志

論文

北陸新幹線(金沢・敦賀間)は令和5 年開業予定であり、本工事は、北陸新幹線、高崎起点383 ㎞ 981m~386 ㎞ 438m(L=2,457m)間における新幹線高架橋工事である。当工事では、旧河川である八日市川を隣接して新幹線本線が交差するルート計画となっているため、旧河川を瀬替えして新河川を築造する必要があった。八日市川の瀬替えは石川県との調整で、下流側を平成29 年11 月、上流側を平成30 年3 月に部分使用することが決まり、工期短縮が求められた。工期短縮策として、河川土工事においてICT 建機を使用し、マシンコントロール施工により、作業効率・安全性を向上させ、工期短縮に寄与した。

key words:河川瀬替え、IoT 活用、ICT 建機、生産性向上、業務効率化、創意工夫