JP / EN
プロジェクトストーリー

錢高組技報 ZENITAKA Technical Report

錢高組技報2015-No.40

論文・報告

1

光ファイバーによるグラウト充填検知システムの開発

角田晋相 細野順平 八若幹彦 渡辺 淳

論文

近年、PC グラウトの品質および充填性を向上させるため、シース内にセンサーを埋め込み、施工時においてグラウト充填状況の確認が行われることが多くなってきている。
そこで、PCグラウトの充填状況を検知する手法として光ファイバーによるセンシング技術に着目し、グラウト充填検知システムを構築した。
本稿では、光ファイバーを用いたセンサーによるグラウト充填に対する検知性能を確認するために実施したグラウト注入実験とPC橋梁工事への適用事例について報告する。

key words:PC グラウト、光ファイバー、充填確認

2

両端開口の音響管を用いたトンネル発破低周波音低減装置の開発

角田晋相 安部 剛 笠水上光博 森川真圭

論文

山岳トンネルの施工においては、発破による騒音対策としてトンネル坑口に防音扉を設置することが多い。しかし、防音扉では発破に伴う低周波音に対しては十分に低減することは難しく課題となっている。それに対し、近年では共鳴器を利用した低周波音の低減装置が開発され実用化されている。
そこで、音の共鳴現象による消音方法として開管の共鳴に着目し、両端が開口された音響管による低周波音低減技術を開発した。

key words:山岳トンネル、発破音、共鳴器

3

アジテータ車のドラム内に設置したプローブによるコンクリート品質の連続管理

若林信太郎 原田尚幸 角田晋相

論文

ひずみ計および温度計を内蔵したプローブをアジテータ車のドラム内部に取り付け、コンクリートの積込みから荷卸しまでのスランプ、温度および積載量を推定し、それら情報をリアルタイムに把握するコンクリート品質の連続管理システムの適用性について検討した。その結果、1)スランプとプローブ圧力には高い相関があり、それは指数関数の近似曲線で表現可能なこと、および、2)同システムによって、スランプ、コンクリート温度および積載量を連続記録および表示可能なため、出荷から荷卸しのリアルタイムの品質管理に有効と考えられることが、確認できた。

key words:アジテータ車、プローブ、フレッシュコンクリート、連続管理、スランプ、コンクリート温度

4

大開孔と中開孔が近接したRC 造基礎梁のせん断性能に関する実験的研究 その3 追加実験概要

五十嵐治人 伊藤 仁

論文

建物の基礎梁は、設備用配管のための開孔を多数設ける必要が生じる。通常開孔を設ける際、以下の規定を守ることが望ましいとされている。
 ① 開孔の直径は梁せいの1/3 以下とする。
 ② 隣り合う開孔の中心間隔は、双方の開孔直径の平均の3 倍以上とする。
上記②を守るため、開孔を設ける位置は大きな制限を受け、配管を迂回させるなどの対応が必要となり、設備計画、施工とも煩雑となってしまう。特に、大開孔である人通孔に関しては、開孔を設けられない範囲が大きくなり、影響が大きい。
本研究は、前報その1、その2に引き続き人通孔を模擬した大開孔の両側に中開孔が近接した梁の構造実験を実施した。当初の想定よりも開孔間の耐力は大きく、長方形耐力を確保する必要はないという結論を得ているため、このシリーズでは水平補強筋、開孔部上下補強筋を必要最低限に減じて実験を行った。また、コンクリート強度、せん断スパン比、梁せい、開孔間補強筋量をパラメータとして実施し、最終破壊は開孔上下破壊、開孔間破壊の2 種類に大別されることが分かった。何れの場合であっても、安全側に耐力を評価できることを確認した。

key words:有開孔梁、せん断破壊、正負交番漸増載荷実験

5

大開孔と中開孔が近接したRC 造基礎梁のせん断性能に関する実験的研究 その4 鉄筋のひずみ性状とひび割れ幅

伊藤 仁 五十嵐治人

論文

建物の基礎梁は、設備用配管のための開孔を多数設ける必要が生じる。通常開孔を設ける際、以下の規定を守ることが望ましいとされている。
 ① 開孔の直径は梁せいの1/3 以下とする。
 ② 隣り合う開孔の中心間距離は、双方の開孔直径の平均の3 倍以上とする。
上記②を守るため、開孔を設ける位置は大きな制限を受け、配管を迂回させるなどの対応が必要となり、設備計画および施工ともに煩雑となってしまう。特に、大開孔である人通孔に関しては、開孔を設けられない範囲が大きく、影響が大きい。
本研究は前報その1、その2 に引き続き人通孔を模擬した大開孔の両側に中開孔が近接した梁の構造実験を実施した。当初の想定よりも開孔間の耐力は大きく、長方形耐力を確保する必要はないという結論を得ているため、このシリーズでは水平補強筋、開孔部上下補強筋を必要最低限に減じて実験を行った。また、コンクリート強度、せん断スパン比、梁せいおよび開孔間補強筋量をパラメータとして実施し、最終破壊は開孔上下破壊、開孔間破壊の2種類に大別されることが分かった。いずれの場合であっても、安全側に耐力を評価できることを確認した。
なお、本報ではその3 に引き続き、鉄筋のひずみ性状およびひび割れ幅の測定結果について述べる。

key words:有開孔梁、基礎梁、せん断破壊、正負交番漸増載荷実験

6

数値流体解析を用いた自然エネルギー棟周りの流れ場に関する検討

安部 剛 笠水上光博

論文

本報では、数値流体解析を用いて、南極昭和基地における自然エネルギー棟を対象とした換気口の設置位置を検討する。検討結果より、自然エネルギー棟における換気口の設置状況を報告する。

key words:南極昭和基地、換気システム、数値流体解析、自然エネルギー棟、流れ場

7

生物多様性評価ツール「いきものプラス」の開発 -CASBEE 対応型評価ツール-

笠水上光博

論文

近年、生物多様性の保全の必要性が認識され、建築における生物多様性のニーズが高まってきている。このような中で、筆者らは、地域ごとの生物環境のデータベースを構築するとともに、CASBEE の生物多様性に関わる評価項目を踏まえて、設計者が生物多様性を簡易に提案するための支援ツール「いきものプラス」(商標登録済)を2014 年に作成した(データベースは東京23 区のみ)。また、2015 年にはシステムの利便性を高めるために、データベースを首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)まで拡充した。

key words:生物多様性、緑化、CASBEE

8

急峻な斜面の谷間に架橋するPC 橋の施工 -奥瀞道路 玉置口第二橋-

櫻井尚久 田中好秀 東海林瞬 上田高博

論文

奥瀞道路玉置口第二橋は、和歌山県の飛び地である東牟婁郡北山村から新宮市熊野川町に跨る国道169 号線の改良工事の一環で架橋されるPC2 径間連続ラーメン箱桁橋である。現国道は幅員狭小・線形不良、異常気象時通行規制などの問題を抱えており、災害時や緊急時における交通機能を確保し、沿線地域の活性化と交流促進を図るために改良工事が計画されている。このため当工事も地形的に厳しい条件(急峻なV字谷)での橋梁上下部工事となっており、地形的に工事用道路が確保できない条件下で橋台をいかに施工し、工期内に工事を完成させるかが大きな課題であった。本稿では索道を採用した揚重用仮設備の変更などにより、上下部工事の工程短縮と橋台の施工を可能にした施工方法を紹介する。

key words:PC2 径間連続ラーメン箱桁橋、急峻なV字谷、索道

9

由良川橋梁における工程短縮と上下線近接張出施工の対策と配慮 -丹波綾部道路 由良川橋才原地区上下部工事-

松谷 満 遠藤弘文 村岡賢二

論文

本工事は、京都縦貫自動車道路の一部区間である丹波綾部道路の京丹波わちIC 付近に位置する。2014 年度に京都縦貫自動車道路の全線開通が決まっており工程厳守が絶対条件であった。しかし、地元協議の難航により工事用道路、ヤード確保が出来ないことによる工事一部中止命令があったため工程が著しく遅れ、工程短縮をする必要があった。また、工事の特徴として、国道27 号線と京丹波わちIC および一級河川の由良川を跨ぎ、上下線が近接した張出施工となる。その中で工程遅延が許されないため上下線並列して施工させる必要があった。
本報文はこれらの実施対策について報告するものである。

key words:工程短縮、下部工、上部工、上下線近接、張出施工

10

PC5 径間連結コンポ橋の施工 -東海環状下宮高架橋南PC 上部工事-

辻 浩次 藤井 清

論文

本工事は岐阜県神戸町下宮地内に、橋長187.5m のPC5 径間連結コンポ橋を施工するものである。PC コンポ橋とは、工場で主桁を分割製作し現場にて接合架設し、その上に場所打ちコンクリートを施工した合成桁橋であり、当社としては本構造形式の橋梁施工は初めてとなる。
ここでは本橋の施工のうち、セグメントの製作・セグメントの接合緊張・主桁架設・主桁小運搬・PC グラウトの施工について報告する。

key words:PC コンポ橋、軌条、桁小運搬、下げ越、暑中グラウト、保冷車

11

営業線との接続部の施工 -高速電気軌道第3・4 号線車両回送用連絡線設置工事-

中川達也

論文

本工事は、大阪市交通局の「地下鉄車両工事機能の一元化計画」の一環として、本町駅付近において、第3 号線(四ツ橋線)と第4 号線(中央線)とを接続する単線函型トンネル(約491m)を開削工法により築造する工事である。
本報は、営業線との接続部において既設構造物の安全性を確保しながら施工を行う中で、既設鉄筋斫り出しに、振動、マイクロクラック、鉄筋損傷等の悪影響を与えないウォータージェット工法(以下、WJ 工法)を、また、既設側壁撤去には静的解体工法としてワイヤーソー等による切断工法(以下、CUT 工法)を採用、その施工について報告するものである。

key words:営業線近接工事、WJ 工法、鉄筋斫り出し、スライドダウン

12

6寸勾配屋根におけるコンクリート打設・スラブ配筋工法の省力化

井川義彦 藁科優次 青木 裕

論文

立正佼成会名古屋西教会は、RC 造(屋根(棟・梁)S 造+スラブRC 造)平屋建ての入母屋造りの建物である。屋根は6 寸勾配(6/10)で建物全周庇(片持ちスラブ)の出幅が2500㎜あり、本施工する前に同勾配の模型(w=2700 ㎜×L=3600 ㎜)を作成し、屋根スラブ配筋・コンクリート打設・瓦葺き等、各作業・安全性について検討を行った。検討の結果、スラブ配筋の上下筋を一体化上架する計画、勾配屋のスラブ配筋を含むその他作業軽減する事で、安全・作業性を高め、屋根工事全体を無事故、無災害で工事を完遂出来た。

key words:勾配屋根(6/10)、不安定な作業床、スラブ配筋の省力

13

基礎及び基礎梁におけるPCaPC 工法

伊藤勇人 鈴木博文

論文

当物件は、通信事業者のネットワーク中枢を担う建物である。建築面ではPCaPC(プレキャスト・プレストレストコンクリート)構造を上部躯体の他、基礎・基礎梁まで採用、機能保全の為に免震構造も同時に採用している。また、用途上の機能確保のために、2 系統特高受電、非常用発電機、無停電電源装置など電気的にも様々な対策がなされている事もこの建物の特徴である。
本報では、基礎・基礎梁におけるPCaPC の製作・施工について報告する。

key words:PCaPC 工法、マスコンクリート、免震構造