Project Story 07 慶應義塾大学 三田キャンパス南校舎
Smart Campus 伝統を継承し、充実の学びを支える最先端校舎

「慶應義塾大学 三田キャンパス南校舎」は慶應義塾創立150周年記念事業の一環として、三田キャンパスを21世紀の学術・文化を先導するにふさわしいキャンパスにするために計画された建物です。長年親しまれてきた「旧南校舎」の意匠を継承して街並みに配慮しつつ、三田キャンパス正門に面する「新しい顔」を形作っています。
また本建物は環境対応や地震に対する対策等の面でも、様々な先進的な取り組みが導入されています。
特徴 Features
旧校舎の意匠を継承し、
最新の設備を備える新校舎
三田キャンパス正門に面した南校舎は街とキャンパスのつながりを意識したゲート状の建物で、680人を収容できる「南校舎ホール」をはじめ、200人を収容できる大教室、学生ラウンジ、学生食堂、PCラウンジなどが備えられています。建物の正面の意匠は「旧南校舎」の格子状のデザインを継承しており、建物の機能を東西で分けた明快な計画となっています。建物の中央の吹き抜けには正門から中庭に抜ける「キャンパスゲート」が設置され、歴史と伝統ある大学の入り口にふさわしいアプローチを形成しています。
建物内の各所にラウンジやテラスなど多用途に使用できるスペースを設けているほか、3階には教職員・OB向けラウンジ「社中交歡 萬來舎」が設けられています。
中間階免震を採用し、
安全性と広い空間を両立
三田キャンパスは正門と中庭で約6.6mの高低差があり、南校舎はこの境目に立地しています。この敷地の特徴を生かして、地下1階(南側の地上部)と地上1階(北側の地上部)の間に「免震層階」を設ける中間層免震構造を採用しています。この免震層階に積層ゴム免震装置38基、鋼製ダンパー6基、鉛ダンパー28基を設置。その結果免震層より上の階では耐力壁や柱の断面を小さくすることが可能となり、デッドスペースの少ない広い内部空間を実現しています。
先進の環境対応
自然エネルギーを活用し環境にやさしい
校舎を実現
南校舎には消費エネルギーの抑制に加え、緑、風、雨水、地熱、太陽光といった自然エネルギーを積極的に活用する様々な工夫が盛り込まれています。
建物外周の表情を特徴づけている深い格子状の庇は、直射日光を防ぎ室内の温度上昇を抑制。さらに庇の下に取り付けられた反射板「ライトシェルフ」により室内に間接光を取り込むことで、「太陽光」をコントロールして照明負荷と空調負荷を低減し快適な室内環境を創出しています。
また建物中央には1階天井部から最上階までを貫く吹き抜け「エコボイド」を設置。
日光を1階にまで届けるとともに各階に換気窓を設け、積極的自然通風を実現。
「風」の力を最大限に活かし建物の消費エネルギー削減を実現しています。
そのほかにも「地熱」を活かすクールヒートトレンチや「緑」を活かす屋上緑化等、様々な形で自然エネルギーの活用を図り、環境にやさしい建物を実現しています。
三田キャンパスの歴史を紡ぐ
「東館」と「南校舎」
当社は三田キャンパス正門に面する南校舎の他にも、三田キャンパスの東側のゲートとなっている「東館」(2000年竣工)の設計・施工なども担当しています。キャンパスのシンボルとなっている「旧図書館」の赤レンガのゴシック風の意匠を継承した東館と、最新の設備を導入し21世紀を拓く学びを支える南校舎。どちらも歴史と伝統ある三田キャンパスの風景を継承しつつ、新しい風を入れながら、未来に向けて学ぶ学生達のキャンパスライフを支えています。
Smart CampusSmart Campus
工事概要 Outline
-
- 工事場所
-
東京都港区三田
-
- 発注者
-
学校法人慶應義塾
-
- 設計
-
株式会社日建設計
-
- 工期
-
2009年12月~2011年3月
-
- 工事概要
-
RC造(一部SRC・S造)
地下1階、地上7階(中間階免震構造)
建築面積 2,252.40㎡
延床面積 14,876.94㎡