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プロジェクトストーリー

Project Story 05 ナイル川源流橋

Source of Nile Bridge 国際チームで挑んだ東アフリカ初の斜張橋

ナイル川源流橋

世界最長級の大河「ナイル川」はアフリカ・ウガンダのヴィクトリア湖からアフリカ大陸を北に流れ、エジプトのアレクサンドリアで地中海に注ぎます。
このナイル川の最上流部分、ヴィクトリア湖の2.5km下流「Source of Nile(ナイル川源流)」に架けられたのが、東アフリカ初の斜張橋である「ナイル川源流橋」です。
本橋は日本政府のODA事業(有償資金協力)として当社と韓国企業の共同企業体を中心とする国際チームで建設され、2018年10月に開通しました。
ナイル川の「源流」に架かる本橋の開通により、東部アフリカの物流・交通の改善への大きな貢献が期待されています。

特徴 Features

1 アフリカで「日系企業最大の コンクリート桁斜張橋」を架ける

ナイル川源流橋は橋長525mの3径間連続斜張橋で、中央径間の支間長は290mに達します。構造は主塔、主桁ともコンクリート構造で、日系企業が施工を行ったコンクリート主桁を有する斜張橋としては日本国内も含めて最大級の規模を有する巨大な橋です。
本橋の形式である「斜張橋」は塔から斜めに張ったケーブルで桁を吊った橋梁で、ナイル川源流橋には高さ約80mの「逆Y字型」の主塔が採用されています。この主塔から左右にそれぞれ18本のケーブルが伸び、コンクリート製の橋桁を吊っています。この主塔の施工にあたっては、主塔の形状に合わせて曲線状に昇降できるエレベーターを設置して行いました。

全体一般図
全体一般図
逆Y字型の主塔。高さは水面から約80m。18本のケーブルで橋桁を吊る。
逆Y字型の主塔。高さは水面から約80m。18本のケーブルで橋桁を吊る。

2 ナイル川をまたぐ 川の中に足場を組まない「張出し施工」

縦に伸びる主塔に対して、横に伸びる橋桁は、大型移動作業車(ワーゲン)を使用した「張出し施工」で構築しました。張出し施工はすでに構築した橋桁の先端部を足掛かりに、さらに先へ先へと伸ばしていく工法で、河川内に足場を組む必要がありません。施工に使用する設備である移動作業車も橋桁が伸びていくにしたがって、順次移動しながら施工が進んでいきます。
最終的には左右から伸びてきた橋桁が中央部分でつながる「閉合」を迎えて橋桁の施工が完了します。閉合の前に移動作業車は解体しますが、本橋では移動作業車にプラスチック製のドラム缶を「浮き」として設置し、そのままナイル川の上に下ろして浮かべ、岸まで曳航して解体を行いました。
閉合後、ケーブルの張力調整や橋面の舗装、高欄や被雷設備の施工などを行い、最後に橋に荷重がかかった時のたわみ具合を確認する「載荷試験」を行いました。載荷試験では土砂を積んだダンプカーが橋の上に並び、たわみ量が想定の範囲内に収まっていることを確認しました。

少しずつ伸びていく橋桁 先端部についているのが移動作業車(ワーゲン)
少しずつ伸びていく橋桁 先端部についているのが移動作業車(ワーゲン)
左右の橋桁がつながり「閉合」を迎える。
左右の橋桁がつながり「閉合」を迎える。
最後は移動作業車を水面に下ろして岸まで曳航
最後は移動作業車を水面に下ろして岸まで曳航
載荷試験 土砂を積んだダンプカーでたわみ量を調べる。
載荷試験 土砂を積んだダンプカーでたわみ量を調べる。

3 120年先の未来を見据えて アフリカの未来に架ける橋

ナイル川源流橋は2014年1月の起工式から4年8ヶ月余りの工期を経て、2018年10月に開通式を迎えました。式典はウガンダ共和国のヨウェリ・ムセベニ大統領や我が国の佐藤正久外務副大臣(当時)、亀田和明ウガンダ共和国駐箚特命全権大使(当時)をはじめ、総勢2,000人以上の招待客、5,000人を超す地元住民が出席する中で盛大に行われました。
本橋は120年の耐用年数を目指しており、長期にわたり健全性を損なわずに維持管理していくための各種センサー類が橋梁の各所に多数設置されています。こうしたハード面だけでなく、今後の運用を担っていくウガンダ国家道路公社のためのマニュアル整備や技術者向けのモニタリング手法の教育・訓練など、ソフト面も含めて継続的に維持管理がなされるように支援を行いました。
世界最長級の大河・ナイル川に架かる東アフリカ随一の規模を誇る本橋が、今後も永く東アフリカ地域の経済発展に寄与していくことを希望してやみません。

佐藤外務副大臣(左、当時)とムセベニ大統領(右)によるテープカット
佐藤外務副大臣(左、当時)とムセベニ大統領(右)によるテープカット
多くの人が集った「渡り初め」(1)
多くの人が集った「渡り初め」(1)
多くの人が集った「渡り初め」(2)
多くの人が集った「渡り初め」(2)
施工チーム 国境を越えて団結し、ひとつの橋を共に架けた。
施工チーム 国境を越えて団結し、ひとつの橋を共に架けた。

Source of Nile BridgeSource of Nile Bridge

工事概要 Outline

  • 工事場所

    ウガンダ共和国ジンジャ県

  • 発注者

    ウガンダ国家道路公社

  • 施工監理

    オリエンタルコンサルタンツ(現オリエンタルコンサルタンツグローバル)・エイト日本技術開発・PyunghwaエンジニアリングコンサルタントJV

  • 施工

    錢高組・現代建設JV

  • 工期

    2014年1月~2018年10月

  • 工事概要

    3径間連続斜張橋
    橋長525.0m
    支間長135.000m+290.000m+100.000m
    有効幅員22.900m~23.540m
    主塔高さ 橋面より69m(基礎天端より約80m)
    主桁断面 3重箱桁断面
    斜材 1面吊り構造(18段)