お問い合わせ サイトマップ Jp En 検索
menu

新着情報

「フローティング基礎工法の設計ガイドライン」を共同作成

2003年08月 UP

設計工程を大幅に短縮、建築主や確認申請機関への迅速な対応が可能に

当社は、青木建設、西松建設、熊谷組、間組、ピーエス三菱、戸田建設、三井住友建設(幹事会社)、飛島建設、りんかい日産建設と共同で、合理的で環境負荷の小さい基礎工法であるフローティング基礎に関する3年間の共同研究を実施し、このたび「フローティング基礎設計ガイドライン」の作成を完了しました。

■開発の背景
フローティング基礎は、建物重量と基礎根入れ部分の掘削で排除する土の重量とをバランスさせることにより、有害な沈下障害等の発生を防ぐことができる基礎形式です。特に軟弱地盤や地下階を有する建物等の条件では、杭基礎等の他の基礎形式に比べて合理的な工法となりうるもので、環境負荷の低減にもつながります。しかしながら、フローティング基礎の設計を対象とした指針類などについては、これまでまとめられたものが無く、個々の設計者の判断にゆだねられていました。

フローティング基礎の概念図

フローティング基礎の概念図

■ガイドラインの概要
設計のよりどころとなるガイドラインの作成を目的として、2000年4月に建設会社10社による共同研究を開始し、3年余りの活動によってこのたび、本文(12章)および参考資料編(6編)合わせて約180頁の冊子を完成しました。
ガイドラインの作成にあたっては、関西大学工学部建築学科伊藤淳志助教授のご指導をいただき、内容の充実度・完成度を高めています。
また、ガイドラインに付随して、各種基礎形式とフローティング基礎のコストを比較する「基礎コスト試算ソフト」および、設計計算の中心となる即時沈下量の算定についての「沈下量算定ソフト」等のツールを整備しました。ガイドライン冊子およびこれらのソフトウエアを用いることにより、概略検討から詳細設計に至る業務の、迅速化・省力化が期待できます。

■ガイドラインの特徴
今回のガイドラインの作成にあたっては、3つの事項に重点をおいた検討を行いました。それぞれの課題に対応する検討ワーキンググループを組織して掘り下げた検討を行い、その成果をガイドラインに盛り込みました。

・フローティング基礎の適用可能条件・成立可否の諸条件の明確化
敷地条件、周辺条件、地盤条件、建物条件等による適用性・制約等を整理して、適用可否が迅速に判定できる適用性検討フローを作成しました。併せて、建設コストを考えた、杭基礎等の他工法との経済性の比較検討を諸条件の下で行っています。

・合理的な沈下算定手法の検討
ガイドラインで推奨する格子梁+連成ばねモデルによる沈下計算手法《簡易計算法》について、3次元FEmモデルを用いた精密計算法との比較を行い、その計算精度が充分であることを検証しました。

・液状化地盤における適用性の検討
液状化の可能性がある地盤では、液状化対策を行うことを原則としますが、液状化を許容した設計法についても適用範囲とする設計検討手法を提案しています。目標性能に応じた経済的な基礎の提案が行えます。

■今後の展開
当社では、本ガイドラインの有効活用により、合理的で環境負荷の小さいフローティング基礎の適用拡大を図るとともに、実施施工を通じてガイドラインの一層の高度化を目指して行く予定です。