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「MAGICベース構法」の性能証明を取得

2002年05月 UP

埋込み形柱脚と同等の耐震性能

当社は、前田建設工業と共同で、耐震性能に優れた鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)非埋込み形柱脚構法(MAZICベース構法)を開発し、2002年3月に財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得しました。

■従来工法との比較
従来使用されていたSRC造の非埋込形柱脚は、ベースプレートをアンカーボルトとナットで固定する形式ですが、阪神・淡路大震災においてアンカーボルトの引張破断後に柱脚部が大きくずれる「すべり破壊」が多く見られました。

このアンカーボルトの破断の原因としては、地震時に建物が大きく揺れたことで柱に想定を大きく超える引張力が生じ、その引張力に対してアンカーボルトおよび柱主筋の引張耐力が不足していた可能性が高いと考えられます。現在ではこのような大きな引張力を受ける可能性のあるSRC造柱の柱脚は、内蔵鉄骨柱を基礎梁等の下部構造に所定長さだけ埋め込む「埋込み形柱脚」とする必要があります。しかし、柱脚構法を埋込み形とすると、施工性が悪くなり、コスト、工期が増加するため、その改善が課題となっていました。

「MAZICベース構法」は、柱脚部のベースプレート部分に多くの異形鉄筋を配筋する独自の構造となっており、上記のようなすべり破壊を防ぐと共に、SRC造柱としての耐震性能を発揮できるように開発された、安全かつ合理的な非埋込み形柱脚構法です。

埋込み形構法(参考)

埋込み形構法(参考)

MAZICベース構法

MAZICベース構法

■構法の概要
MAZICベース構法は、従来の非埋込み形柱脚のようにアンカーボルトで鉄骨ベースプレートを固定するのではなく、下部構造に定着された異形鉄筋(以下、接続鉄筋)を鉄骨ベースプレートに設けたルーズホールに貫通させ、柱内部に所定の長さだけ定着させる構造になっています。MAZICベース構法の主な特長は以下のとおりです。

1. 埋込み形柱脚に比べ、1脚あたりの材工費が約15%のコスト減となる。
2. 埋込み形柱脚に必要な0(ゼロ)節の鉄骨建て方が省略でき、施工性が大幅に向上し、工期が短縮できる。
3. MAZICベース構法を採用したSRC造柱は、埋込み形柱脚構法を用いたSRC造柱と同等の構造性能を有している。
・引張力を想定したSRC造柱の構造実験を実施し、変形性能や耐力などの構造性能が埋込み形柱脚と同等であることを確認しています。
4. 鉄骨ベースプレート部に接続鉄筋を配筋できるため、柱に作用する引張力が大きな場合でも本構法の適用が可能である。
・MAZICベース構法はベースプレート部分にも多くの鉄筋を配置することができるため、柱に作用する引張力が大きな場合でも、接続鉄筋および柱主筋を介して下部構造へ引張力を確実に伝達できます。
5. 鉄骨ベースプレートに局所的な曲げが生じないため、鉄骨ベースプレートの板厚を小さくでき、経済的な設計ができる。
・接続鉄筋と鉄骨ベースプレートは機械的には緊結されておらず、柱に引張力が作用した場合は、接続鉄筋が付着力によって周りのコンクリートと一体となって鉄骨ベースプレートの上面全体を押さえつける構造となっています。このとき、鉄骨ベースプレートには上面全体に圧縮力が作用し、アンカーボルトとナットで固定した場合と違って局所的な曲げ変形が発生しません。そのため、接続鉄筋が比較的多くてもベースプレート厚が過大となることはなく、経済的な設計ができます。
6. 接続鉄筋は鉄骨ベースプレートのルーズホールを貫通させるだけであり、鉄骨建て方の省力化が図れる。
・鉄骨ベースプレートに設けるルーズホールの径は、接続鉄筋の施工精度よりも大きいため、鉄骨の建て込みが容易です。

MAZICベース構法の構成

MAZICベース構法の構成

■今後の展開
今後、当社は、これらの特長を生かしMAZICベース構法を自社設計に積極的に採用するとともに、設計事務所などにも積極的に提案していく方針です。また、接続鉄筋を鉄骨建て方後に機械式継手などで継ぐなど、施工性をさらに向上させる方法も検討しています。