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ZENITAKA Topics

橋ものがたり

伊達大橋

2021年12月 UP

伊達大橋は、東北中央自動車道 相馬福島道路の一部として、一級河川である阿武隈川を跨ぐ橋梁です。
相馬福島道路は、常磐自動車道と東北自動車道を結ぶ約45kmの自動車専用道路であり、東日本大震災からの早期復興を図るリーディングプロジェクトに位置づけられています。復興支援道路として整備が進められ、震災から10年の節目の年である2021年4月24日に全線開通となりました。
伊達大橋は、相馬福島道路「霊山~福島」区間のうち、福島県伊達市伏黒~伊達市岡沼地内に位置しています。橋長398m、最大支間長122mと、当区間における単独の橋梁としては最大規模の橋梁です。発注時・施工中は「阿武隈川橋」という仮称が用いられていましたが、供用後の正式名称は「伊達大橋」と名付けられました。

工事概要

工事名 東北中央自動車道 阿武隈川橋上部工工事
工事場所 福島県伊達市伏黒~伊達市岡沼
工  期 2018年9月15日~2020年12月24日
橋  長 398m
支  間 88.1 + 122.0 + 122.0 + 62.3 m
構造形式 PC4径間連続箱桁橋

橋梁位置図

構造 Structure

本橋の構造形式は、PC4径間連続箱桁橋です。A2橋台より先に伊達桑折インターチェンジが位置するため、P3-A2区間では、A2橋台に向けて拡幅がなされています。このため、A1橋台からP3橋脚までの3径間は1室箱桁構造であるのに対し、P3橋脚からA2橋台の区間では2室箱桁構造に変化しています。
また、P1・P2柱頭部では桁高が7.5mですが、堤内に位置するP3柱頭部では、堤防道路のクリアランスを確保するため、桁高が6.5m に抑えられています。

橋梁一般図

施工 Construction

■張出し施工
本橋は、張出し架設工法を用いて施工を行いました。3橋脚の同時施工であり、計6基の移動作業車を同時に使用しての張出し施工となりました。
なかでもP3-A2区間は、前述の通り、拡幅をともなう2室箱桁構造となっているため、3主桁拡幅スライド対応型の移動作業車を用いました。

張出し施工状況

3主桁 拡幅スライド対応型 移動作業車

■大型免震ゴム支承
本橋の支承には、ポストスライド機構を備えた大型免震ゴム支承が採用されています。
中間支点では支承1基あたりの総重量が36tで、ベースプレートの寸法は3.7m×2.2m×0.11mにもなる製品でした。支承が大型であり、組み立てた状態での揚重や運搬が困難なことから、ベースプレート、支承本体、ソールプレートに3分割して現場に搬入し、据付けには130tクレーンを使用して、施工を行いました。

大型免震ゴム支承(工場検査)

■ICT技術の活用
本工事の施工に当たっては、様々なICT技術を活用し、施工の高精度化・省力化を実現しています。

マスコンクリートとなる柱頭部では、温度ひび割れ抑制対策として、温度応力解析に基づいたパイプクーリングを実施しました。パイプクーリングの管理において、無線通信技術を用いたリアルタイム計測システムを導入し、タブレット端末やパソコンを用い、遠隔でリアルタイムに温度管理を行うことで、省力化しながら、迅速かつ高精度な管理が可能となりました。

グラウト注入作業においては、注入管理システム、充填検知システムを導入しました。注入管理システムによって注入作業時の流量・圧力をパソコンで一元管理し、光ファイバーと光検知センサーを用いた充填検知システムによって注入時の空隙発生防止管理を行っています。計測記録の自動保存により報告書作成も容易となり、事務作業の省力化に繋がりました。

また、実験的な試みとして、レーザースキャンによる橋梁形状の3次元データ化を行いました。お客様や見学者への説明用資料として活用し、現場状況をビジュアルでわかりやすく説明することが可能となりました。今後は、本データを用いた出来形計測や、維持管理への活用の可能性を探っていきたいと考えています。

無線通信技術を用いたリアルタイム計測システム

グラウト注入管理

3次元スキャンデータ