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高面圧で使用可能な免震装置(弾性すべり支承)を開発

2002年10月 UP

20%程度のコストダウンが可能

当社はこの程、住友金属工業および青木建設、新井組、安藤建設、大木建設、熊谷組、三菱建設と共同で、高面圧で使用可能な免震装置「弾性すべり支承(KSシリーズ)」を開発し、国土交通大臣の建築材料認定を取得しました。

■本免震装置の概要と特徴
本免震装置は、すべり部(*1)と薄層弾性支承部(*2)で構成しています(用語解説参照)。
すべり部のすべり材には、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)を主成分とする摺動層と、鋼板を多孔質青銅層でバイメタル状にした複合材を採用し、すべり相手材としては、研磨仕上したステンレス鋼板の表面にPTFEを含有した樹脂層をコーティングしたものを採用し、高面圧化と低摩擦化を図っています。
薄層弾性支承部には単層のゴムプレートを設置することにより、すべり部のスムーズな滑り出しと施工時の据付誤差の吸収を可能としています。

免震装置「弾性すべり支承」

免震装置「弾性すべり支承」

■本免震装置を用いた免震構法としての特徴
本免震装置を建物に適用するには、復元力のある積層ゴム支承(*3)等を併用することとなりますが、本免震装置を適用した場合の特徴は以下の通りです。

1. 本免震装置については、高面圧による装置のコンパクト化により、従来の装置よりも20%程度のコストダウンを図っているため、既存の積層ゴム支承等を併用しても、免震装置全体に要する費用の低減を図ることが可能です。
2. すべり部の低摩擦化を図っているため、震度3クラスの地震から大地震に至る様々な地震に対して免震が可能です。
3. すべり材を保持する中間プレートと上部ベースプレートの間に単層のゴムプレートを設置することにより、地震時、最初にゴムプレートが変形し、その後、すべり部の滑りが生じる機構としているので滑り出しをスムーズにし、居住性の向上を図っています。

■建築材料認定について
建築材料の名称:「弾性すべり支承(KSシリーズ)」

認定番号: mVBR-0139
仕 様 : KS250、KS300、KS350、KS400、KS450の5タイプ
長期許容鉛直荷重: 1444kN(KS250)~4676kN(KS450)
摩擦係数: 0.014(面圧29.4N/mm²、相対すべり速度10cm/sの時)
限界変位: ±400mm、±500mm、±600mmの3種類

■今後の展開
本免震装置は、当面は共同住宅、防災拠点としての公共建物・医療施設、ハイテク建物、福祉施設等の中低層建物を適用対象としています。本年9月から本格的な生産体制を整え、研究会メンバーをはじめ、第三者にも販売を予定しています。

用語の解説

(*1)すべり部… すべり材とすべり相手材の組み合わせをいいます。すべり相手材の表面をすべり材が滑動します。すべり材は、下図に示すように鋼板を裏金とし多孔質青銅層と表面摺動層とからなる複合構造となっています。
(*2)薄層弾性支承部… ゴムプレート部をいいます。薄型の円形ゴムプレート(弾性体)で荷重を支えています。
(*3)積層ゴム支承… 薄いゴムシートと中間鋼板(薄板)をサンドイッチ状に何層かに積層・接着した構造で、上下方向の支持力に優れるとともに、水平方向には柔軟性があるため、地震の揺れを穏やかな揺れに変換する特性を持っています。