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工事レポート

東北大学 青葉山 東キャンパスセンタースクエア

2011年03月 UP
東北大学 青葉山 東キャンパスセンタースクエア

左:ブックカフェ棟、右:中央棟

東北大学 青葉山 東キャンパス センタースクエアは、550席の大食堂や事務室、会議室、講義室などを備えた「中央棟」と、ブックカフェと購買店舗からなる「ブックカフェ棟」、およびこれらを取り巻く外構計画によって創出された空間です。
仙台市の中心部に隣接しながらも自然豊かなキャンパスの風景を活かしたランドスケープデザインと独創的な2棟の建物が融合した空間計画が高く評価され、2012年第53回BCS賞を受賞しました。

施工範囲建物配置図

工事概要

施工場所 仙台市青葉区
建築主 国立大学法人 東北大学
設計・監理 株式会社 山本・堀アーキテクツ
工期 2009年6月2日~2011年3月25日
構造・規模 (中央棟)RC造 一部SRC造、S造 地上4階建
(ブックカフェ棟)RC造 一部木造、S造 地上1階建
建築面積 (中央棟)2,270m2 (ブックカフェ棟)974m2
延床面積 (中央棟)5,423m2 (ブックカフェ棟)938m2
 

建物 Building

中央棟
中央棟は東西に長い建物で、東西両端の閉じた箱と中央の開いた箱の3つのゾーンで構成されています。
東西の両ゾーンには、長手方向はRC耐震壁、短手方向はSRC柱と鉄骨梁で構成された「閉じた箱」とすることで遮音性と耐震性を確保した、大会議室と大講義室が配置されています。西側の「大講義室」は、跳ね出し長さ約10m、直行方向20mの巨大なキャンチレバー(片持ち)構造です。
一方、建物中央部は、極薄の鉄骨鉄筋コンクリート造の壁柱と鉄骨梁、およびガラスファサードによって構築された、約28m×14mの2層吹き抜けの無柱空間です。この「開いた箱」は、日中は照明がなくても利用可能なダイニングで、常に学生が集う明るく洗練された空間となっています。東日本大震災時は、キャンパス全体のインフラが寸断されましたが、多くの人を収容する避難場所として大きな役割を果たしました。

中央棟平面図

中央棟

ダイニング

中央棟のキャンチレバー

ブックカフェ棟
ブックカフェ棟は「赤松林に囲まれた柔らかな木質空間」をコンセプトに、屋根の木質MRG(Multi-Reciprocal Grid:相互依存グリッド)の片流れ屋根が特徴的な建物です。大学としては新しい試みとなるブックカフェがあり、市民の利用も多く、キャンパスの新しい顔となっています。
木質MRGは、短いLVL(短板積層板)を組み合わせることで自由に長いスパンを飛ばすことができる構造システムで、丸みのある建物形状に加え、木質の幾何学模様の天井面が、優しく落ち着いた空間を創出しています。

ブックカフェ棟平面図

ブックカフェ棟

ブックカフェ内観

ブックカフェ棟全景

施工 Construction

中央棟は、RC、SRC、S造のハイブリッド構造です。1、2階の吹抜け大空間に設けたSRC間柱は断面積が700mm×200mmと極薄であり、コンクリートの密着性とクラック防止に留意しました。このSRC間柱は、1節(1~2階)と2節(3~4階)を連結して製作することで、柱主筋の位置と建方時の精度を確保しました。
建物の象徴でもある西面のキャンチレバーについては、施工手順を綿密に計画し、片持ち基端部にひび割れが発生しないように配慮し、コンクリートの品質管理に留意しました。

鉄骨建方

SRC間柱建込み

ブックカフェ棟は、壁がRC造、外周梁と中間柱がS造、屋根小屋組みが木質構造のハイブリッド構造で、すべてが組み上がって初めて一体構造となる特殊な架構構造です。外周のRC壁に載る鉄骨梁は楕円で勾配があるため、上部アンカーのセットには建物形状に合せた楕円テンプレート(ボルト本数512本)と、光波測量器を使用しました。
屋根の木質構造は、LVL(単板積層材W90×H360×L2700)の組合せと、中央部の鉄骨間柱(φ100mm)で構成されます。精度と施工速度を確保するため、地組をしたユニットを仮受け支保工の上で組み合わせました。木軸組完了時とジャッキダウン後、および屋根工事完了後の3段階で変位測定を行い、全て計画通りの精度に納めることが出来ました。

LVL地組

屋根施工状況

屋根施工状況