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工事レポート

シールドマシンのUターン                  【福岡市地下鉄七隈線中間駅(仮称)東工区建設工事】

2020年08月 UP
シールドマシンのUターン                  【福岡市地下鉄七隈線中間駅(仮称)東工区建設工事】

工事概要

工事名 福岡市地下鉄七隈線中間駅(仮称)東工区建設工事
工事場所 福岡市博多区祇園町地先~博多駅前二丁目地先
発注者 福岡市交通局
監理者 福岡市交通局建設部工事事務所
工事概要 泥土圧シールド工 シールドマシン:Φ5,440㎜ RCセグメント:Φ5,300㎜
L=852m、中間駅(仮称)出入口の構築他
 

 本工事は福岡市地下鉄七隈線の延伸工事であり、博多駅から天神南駅までの延伸区間の一部を施工します。福岡市中心部での施工であり、地上においては交通整理や第三者の安全確保、地下では狭小なスペースを有効活用しながら、トンネルの構築や、駅施設の構築を行わなければならず、難易度の高い工事です。
 本工事のトンネルの構築はシールドマシンを使用した掘進とセグメントの組立てによる”シールド工法”により行われています。

シールドマシンをUターン

 中間駅(仮称)から発進したシールドマシンは隣接工区(他社施工)にてUターンし、再度中間駅(仮称)へ向けてシールドトンネルの構築を行いながら戻ってきます。
 Uターンを行った隣接工区内のトンネルは、長さ13m、幅13m、高さ7mの楕円形の空間でした。この狭い空間でシールドマシンの進行方向を変えるのは非常に難しく、今回は「エアーキャスター工法」を使用しました。



エアーキャスター工法

 エアーキャスター工法とは、架台に乗せたシールドマシンを空気圧で浮かせて回転させる技術です。キャスターバックと呼ばれる空気袋に送り込まれた空気が荷重を持ち上げ、機構の内部に送り込まれた圧縮空気により流体膜(0.08~0.13mm)を形成し、重量物を持ち上げます。この工法により、狭い環境でも大きくて重いシールドマシンを回転させることが可能になります。ちなみに本工事のシールドマシンの直径は5.44m、長さは7.4m、重量は240tです。
 シールドマシンが90°回転した時、最も既設構造物との間隔が近くなります。その間わずか30cmです。既設構造物にあたり、破損しないように慎重に回転を行いました。

エアーキャスター工法の原理

エアーキャスター架台に乗せたシールドマシン

回転状況

隣接工区内の施工ヤードを有効活用する工夫

 当初、隣接工区内での施工ヤードは、再発進坑口部から約60mの範囲となっていましたが、その場合、隣接工区が作業が出来なくなることから、施工ヤードを約30mとし、その範囲で施工可能な方法を検討しました。
 シールド工事では坑内に線路を引いて、掘削土を運ぶズリ鋼車が線路上を走ります。線路のポイントの切り替えには、トラバーサーという装置にズリ鋼車を乗せて、平行移動させます。通常のトラバーサーは長さ4mでズリ鋼車が1台しか乗れないものですが、限られた施工ヤードでペースを落とさず施工するため、本工事では長さ18mで最大4台の車両が乗れるものを製作しました。
 また、トラバーサーや反力壁などの、発進・掘進のための設備の構築は4.9tクローラークレーンを使用して行いました。作業半径と吊り荷重から部材の最大重量を全て約2t以下となるように設備を分割する計画としました。

本工事で使用したトラバーサー(長さ:18m)



トラバーサーの平行移動によるポイントの切替え

西行き掘進中の坑内へ向かうズリ鋼車