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工事レポート

舞鶴若狭自動車道 野坂岳トンネル

2013年04月 UP
舞鶴若狭自動車道 野坂岳トンネル

トンネル坑口

舞鶴若狭自動車道の美浜インターチェンジと敦賀ジャンクション間に位置する延長2,270m野坂岳トンネルが、2012年6月に無事貫通しました。
現在、未開通区間(小浜西IC~敦賀ジャンクション間)は2014年の全線開通を目指して工事が進行しています。

工事概要

工事名称 舞鶴若狭自動車道野坂岳トンネル工事
施工場所 福井県三方郡美浜町太田~敦賀市長谷
発注者 中日本高速道路株式会社 名古屋支店
工期 2008年10月10日~2013年4月26日
工事延長 4,137m
トンネル延長 2,270m(NATM、発破工法)
主要地質 頁岩
 

工事の特徴

野坂岳トンネルは、東側坑口部より掘削開始後150mを通過した辺りから湧水が増大し、地山は安定せず、切羽崩落、支保の変状で、注入式フォアポーリング、長尺鋼管フォアパイリング、注入式レッグボルト等の補助工法を採用した掘削となりました。

施工場所

補助工法概要図

ロックボルト破断・変形

切羽状況

このような地質状況は、野坂岳の中心部で土被りの大きい箇所に至っても回復せず、当初設計支保パターンより2ランク以上重いパターンでの掘削をほぼ全線にわたり実施してきました。
湧水についても断層破砕帯を通過するたびに増加し続け、1500m地点では濁水処理設備を310m3/hまで増設しました。

地質縦断図

岩種は、頁岩主体ですが、亀裂が発達し褶曲作用*1を受け、粘土薄層を挟み全体に脆く崩れやすい状態で、変位速度、変位量(内空変位・沈下)も大きく、計測にて監視を行い、継続して各種補助工法・補強対策を行いながら慎重に掘削を行いました。
更に、トンネル後半の700mは、縦断勾配が下りとなり、湧水と破砕作用を受けた岩盤の影響で土砂搬出走路が泥土化すると共に、坑口より800m付近は緩み領域が大きい地質のため掘削完了した後もトンネルの変状が収まらず、縫い返し*2を繰り返し、掘削距離が伸びることはありませんでした。
このような地質不良状況を踏まえ、到達側低土被り区間の掘削に際しては、トンネル直上からの調査ボーリング、鉄塔変位・坑口のり面変位のGPS計測等の情報化施工、AGF・鏡ボルト等の補助工法による切羽(掘削面)保持を実施しました。
2012年6月14日 15時45分、工事関係者が見守る中、切羽から陽が差し込み、風の匂いを伴いながら無事到達を見届けることができました。

貫通

*1 褶曲作用:地層が力を受けて変形すること、または変形した地層
*2 縫い返し:支保工が土圧により著しく変形した場合、支保工の外側を掘削し直すこと。