お問い合わせ サイトマップ Jp En 検索
menu

新着情報

日本経済新聞に弊社会長の錢高一善の寄稿記事が掲載されました

2022年10月 UP

2022年9月16日(金)付 日本経済新聞(朝刊)「経済教室」の「私見卓見」に、弊社会長の錢高一善が、公益社団法人 関西経済連合会 地方分権・広域行政委員長として寄稿した記事が掲載されました。
同委員会は地方分権・分権型道州制や地方創生の実現に向けた調査・提言、関西広域連合の発展支援と関西広域連携の推進を行っています。



自治体申請、様式統一・電子化を
 関西経済連合会 地方分権・広域行政委員長 錢高一善

 政府のデジタル臨時行政調査会(臨調)は「デジタル原則」のもと行政手続きの見直しを進めているが、企業が地方自治体に対して行う手続きのデジタル化では「支援を行う」のみで具体的な方策が示されていない。そうした手続きの多くは申請様式や添付書類が自治体によって異なり、窓口への持参や郵送が求められる。「デジタル原則」とは程遠いのが現状だ。
 例えば道路占用許可を電子申請できる府県は関西にはない。添付書類も位置図、平面図、縦断図など自治体によって用語や求める種類が違う。医薬品や毒劇物の販売許可等では、代表者が変更になった場合などに、企業は支店のある自治体の数だけ変更届を提出しなければならない。登記簿謄本や課税証明書などの添付書類は多くの自治体で原本の提出が求められ、申請の登記簿謄本取得費用だけで年間300万円以上に上る企業もある。
 関西経済連合会では会員企業の声を集めて報告書をまとめ、日本で唯一の府県を越える広域自治体である関西広域連合にこうした手続きの簡素化を要望した。その結果、関西の多くの自治体でまず高圧ガス販売の申請・添付書類の統一が7月に実現した。これは全国でも初めてで、全国的に様式統一やデジタル化を進めてほしい。
 報告書では競争入札参加資格申請、従業員が保育所等の入所申請の際に必要な就労証明、屋外広告物許可申請などの様式統一・デジタル化も要望している。内閣府の規制改革推進会議によれば、就労証明の様式統一により作業時間が30%削減されれば、全国で164万時間(金額換算で42億円)の効果があると試算されている。
 デジタル化の利点は他にもある。製造拠点の申請では自治体の人手不足で許認可が滞り、生産計画を修正するケースもある。インドネシアでは海外からの投資に関する許認可申請は省庁横断のワンストップセンターに電子で一度行えばよく、進捗状況も確認できてスケジュールを立てやすい。日本のビジネス環境や競争力の向上に自治体の申請書類の様式統一とデジタル化は不可欠。実現すれば日本への投資促進も期待できる。明治以来の47都道府県の枠組みにとらわれず、総務省やデジタル庁など政府が本気で推進してほしい。