お問い合わせ サイトマップ Jp En 検索
menu

新着情報

山岳トンネルのコンクリート自動吹付けロボットを開発

2019年05月 UP

錢高組は、エフティーエス、戸田建設、西松建設、前田建設工業、清水建設と共同で、山岳トンネルの自動吹付けロボットの開発に着手し、ミリ波レーダー技術を搭載した現場実証試験を実施しました。

国土交通省がICTの全面活用を柱とする「i-Construction」を推進している中で、建設業の省人化・省力化が急務となっています。山岳トンネルの工事においてもコンピュータ制御の機械も増えつつありますが、トンネル掘削先端部(切羽と呼ぶ)では、依然として熟練技能者の目視確認に依存したリモコン操作作業も多く残っています。特に、コンクリート吹付け作業では、切羽からの岩片崩落や吹付け飛散物との接触リスクを避けながら、トンネル壁面を平滑曲面に仕上げる高度な施工技量が必要です。

今回、吹付け作業の自動化のニーズに応えるため、吹付け面の出来形をリアルタイムでスキャニングする、ヒトの目に代わる「ミリ波レーダーシステム」を開発しました。 ミリ波レーダーは、ミリ波を対象物に照射し、その反射波を捕捉して対象物までの距離を測定する技術です。この技術は、ミリ波が霧や塵に対して散乱しにくいことが特長で、3mまでの距離なら1mm精度で測定が可能です。このため、従来のレーザー・スキャナによる測定(吹付け作業前後の測定から吹付け厚を把握する)とは異なり、コンクリート吹付け作業中でも高精度に厚さ変化を捉えることができます。また、リアルタイムで得られる吹付け厚から吹付け面とのノズル距離、角度を正確に制御できるので、コンクリートの壁面付着率が向上します。更に、リアルタイムで吹付け面の出来形を遠隔モニターで確認できるため、切羽近傍での作業リスクの減少に役立ちます。

2018年8月、前田建設工業で施工中の尾鷲第4トンネル工事において、エフティーエス製のエレクター一体型コンクリート吹付けロボットに、開発したミリ波レーダーシステムを搭載して実証試験を行いました。

コンクリート吹付け厚のスキャニング実証試験状況

コンクリート吹付け厚のスキャニング実証試験状況

この実証試験では、吹付けロボットのノズル周囲にレーダーセンサを配置し、コンクリート吹付けの自動化に最も重要な「吹付け作業に伴うコンクリートの厚さ変化をリアルタイムに計測する」技術の性能を確認しました。

コンクリート吹付け面の出来形出力結果(吹付け厚さ分布)

コンクリート吹付け面の出来形出力結果(吹付け厚さ分布)

今後、山岳トンネルのコンクリート自動吹付けロボットの完成に向けて、吹付けノズル制御技術の開発を進めるとともに、開発各社の多数のトンネル現場から熟練技能者の吹付け作業データを収集・分析し、最適なコンクリート吹付け作業ができるAI制御による自律型ロボットを目指します。