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シールド工事の長距離施工を可能にする耐摩耗ビットを開発

2012年06月 UP

軟岩層を掘削するシールド工事で耐摩耗ビットの効果を確認
-長距離施工でも交換不要な耐摩耗ビットの開発-

当社は、シールド工事のカッタービットの交換が不要となる耐摩耗ビットを開発し、「広島・八幡地区下水道築造21-8号工事」(施工:錢高・鴻治建設工事共同企業体)において実機に装着し性能を確認しました。
近年のシールドトンネル工事は立坑用地の確保が困難な状況が多く、中間立坑の構築を省略し、1台のシールド機で約2km~8kmの長距離施工を行う工事が増加しています。 長距離施工における最大の課題は、シールド掘削機前面で土砂を削り取るカッタービットの摩耗と言われています。
摩耗したビットを交換する場合、シールド機前面の土砂が崩れないように地盤を固め、地中に作業員が出て摩耗したビットを交換する方法や、機内から遠隔操作でビットの交換を行う方法がありますが、このようにビットを交換する方法では、工期遅延・工事費増となるおそれがあるため、交換不要な耐摩耗ビットの開発が望まれていました。

開発した耐摩耗ビットと従来ビットの摩耗状況

開発した耐摩耗ビットと従来ビットの摩耗状況

シールド機

シールド機

開発した耐摩耗ビットの概要

カッタービットは超硬合金チップとそれを保持する母材で構成されています。カッタービットの課題は、超硬チップの摩耗も問題ですが、それ以上にカッタービット背面の母材が摩耗して健全な超硬チップが脱落するケース(右写真上)が多く、今まではビット背面を硬化肉盛り加工によって摩耗を防止していました。
本開発では硬化肉盛に変わって超硬チップを背面にも配置することにより、ビット背面の摩耗を防止するとともに、超硬チップ脱落時の予備刃としました。また超硬チップは、衝撃に強い材料、摩耗に強い材料を適時組み合わせて配置し、土質の状況に対応させます。
本工事の施工延長は1400mで、500m区間が軟岩層、900m区間が礫・玉石が混在する砂層となっており、従来ビットでは、途中で3回のビット交換を行わなければなりませんでしたが、開発した耐摩耗ビットは途中の交換が不要で許容摩耗量の30%以下の摩耗で到達できました。

従来ビットの背面摩耗と超硬チップ脱落状況

開発した耐摩耗ビットの摩耗状況

今後の展開

シールドの長距離施工においてビット交換回数の低減はコストダウンに直結します。今後は、技術を積極的に現場へ適用していくとともに、さらに広範囲の土質地盤に適用できるビットの開発を行います。