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「鉄筋コンクリート造梁の設計施工指針」の評定を取得

2011年10月 UP

梁端の降伏ヒンジ領域に機械式継手を有する鉄筋コンクリート造梁の設計施工指針が財団法人 日本建築センターの評定を取得

■はじめに
当社は、鉄筋コンクリート造梁端の降伏ヒンジ※の発生が想定される領域に機械式鉄筋継手を設ける場合の『設計施工指針』について、財団法人 日本建築センターのコンクリート構造評定委員会の評定を取得しました。主として建物高さが60mを超える超高層鉄筋コンクリート造建築物の鉄筋継手位置に関するもので、これにより当社は、財団法人 日本建築センターの超高層建築物構造性能評価委員会などにおいて、同「設計施工指針」に則った設計・施工手法を採用することが出来るようになりました。
この設計施工指針は、社団法人 日本建設業連合会 設計委員会参加31社のうちの19社が、「梁端の降伏ヒンジ領域に機械式継手を有する鉄筋コンクリート造梁の設計施工指針」としてまとめたものであり、連名での申し込みにより2011年1月19日付けで評定を取得しています。
従来、梁端の様に降伏ヒンジの発生が想定される領域に機械式継手を全数用いることは認められていなかったため、そのような設計を行う場合には物件ごとに実験などを行って対応していました。また、プレキャスト工法を採用する場合、この制約を避けるために梁端の降伏ヒンジ領域から離して継手を設けると、運搬上の制限から部材のジョイント位置が限定されてピース数が増えるなど、施工の合理化、省力化を達成できないことがありました。
本指針では、要求される物件ごとの実験に代わるものとして既往の部材実験結果を分析し、時刻歴応答解析※に基づいて構造計算する場合の設計手法を提示しました。 また品質管理については、降伏ヒンジ領域に機械式継手を用いる場合の、受入検査を主体とした施工管理者による施工管理方法を提示しました。

※降伏ヒンジ:水平力を受けた架構の部材端が、曲げ耐力を保ちながら回転のみ可能になった状態。その塑性変形によるエネルギー吸収により、RC造建物を靭性に富んだ構造にします。
※時刻歴応答解析:主に高層建築物等の設計で用いられている構造計算方法。

設計施工指針の概要

1.適用範囲
本指針は、時刻歴地震応答解析に基づく構造計算によって設計される鉄筋コンクリート造建築物のうち、梁端の降伏ヒンジ領域に機械式継手を有する工法の設計及び施工に適用します。
図1に適用対象となる機械式継手の位置を示します。ただし、0.3≦W/D≦1.0(Wは柱面から機械式継手の柱側端部までの長さ、Dは梁せい)とします。 本指針に基づく構造設計者及び施工管理者は、申請各社に限定されます。

2.設計方針
終局限界変形時に柱梁接合部のせん断破壊を防止し、目標とする梁降伏先行型の全体崩壊形を保証するため、終局限界変形時の梁の曲げ塑性率や各耐力余裕度に関しては、既往の実験データベースに基づいて構造目標を満足することを確認します。

3.品質管理方針
機械式継手工事に対して、施工管理者による受け入れ検査の体制と品質管理項目を提示しました。柱面から機械式継手の柱側端部までの長さや鉄筋の機械式継手カプラーへの挿入長さなどを重点管理項目として、品質管理や検査の方法を定めています。

図1 機械式継手の位置

図1 機械式継手の位置

今後の展開

本指針によって継手位置の制約条件が緩和され、さらなる施工の合理化を図ることも可能になります。当社は、超高層鉄筋コンクリート造建築物の設計に、本指針を積極的に採用していきます。